アエタ族の農民 ジャパー・グルンとジュニア・ラモスが、反テロ法違反で起訴された(詳しくは2021年2月12日の投稿)。2020年7月に反テロ法が制定されて以来、この法律で起訴された最初のケース。ジュニアとジャパーは、同法の廃止と、同法の実行を差し止める請願書を2021年2月2日に提出していたが、2月9日、それが取り消されたと最高裁によって公開された。検察は、彼らの請願書は全国人民弁護士連合(NUPL)に強要された、請願書にサインしたあとにジャパーとジュニアは1000ペソもらったなどと主張している。 一連の出来事に対し、2021年2月11日、NUPLから声明が出された。要点は以下。
― NUPL声明の要旨
- ジャパーとジュニアは請願書提出を強要されていない。請願書に関する説明やサインは、拘置所の刑務官らがいるところでなされている。
2. 2人がNUPLからもらったとされる1000ペソは、家族からのもの。2021年2月4日に、家族が用意した野菜などと一緒に2人に手渡された。請願書へのサインは2021年1月30日、それが承認されたのは翌1月31日。
3. フィリピン国家先住民委員会(NICP)がジュニアとジャパーに面会していることは、弁護人であるNUPLに伝えられていなかった。請願書提出まじかになると、フィリピン国家先住民委員会は、より頻回に2人に面会していた。
4. ジュニアとジャパーはNUPLに、フィリピン国家先住民委員会が弁護人を国選弁護人に変更するよう説得した、と話した。
5. 2021年2月10日に、NUPLはジュニアとジャパーに面会した。でも、同日に開催された記者会見では、2人はNUPLとの面会を断っていると言った。
6. NUPLは、ジュニアとジャパーが国選弁護人に変更する決意をしたことを確認した。2月11日に公判が開かれるというこのタイミングで変更する理由を、NUPLは探している。
7. ジュニアとジャパーが拷問を受けたことは、供述ビデオからも明らか。
8. 政府がジュニアとジャパーを告訴し、彼らを拷問したのは国軍兵士。そして今、地方共産主義者の武力紛争を終わらせるための国家対策本部(the National Task Force to End Local Communist Armed Conflict:NTF-ELCAC)が、自分たちはジュニアとジャパーの仲間だと言っている。
9. 反テロ法廃止などを求める請願書は2人を守るためのもの。受理されれば彼らの利益になるのに、なぜそれを強要されて提出する必要があるのか。
10. 批判されるべきは、NTF-ELCACやフィリピン国家先住民委員会などのNUPLを断るよう2人に働きかけた者たちだ。保釈不可能な罪で勾留され、寂しさや不安、絶望感から、彼らは圧力に耐えられず請願書を撤回するという決断に至ったのだろう。
11. NUPLは、フィリピン国家先住民委員会が2人を訪問していることを知らなかった。
12. フィリピン国家先住民委員会によって準備された反証供述書にさえ、ジュニアとジャパーが暴力を受けてテロ行為を認めさせられたと書いてある。
13. NTF-ELCACによって実行された記者会見は、NUPLの信用失墜を意図していた。ジュニアとジャパーが1000ペソのことについて説明し始めた時、司会者は彼らの話を遮った。
〈Source〉
STATEMENT OF NUPL-CL ON FALSE ACCUSATIONS THEY COERCED THE AETAS INTO SIGNING A PETITION IN THEIR INTEREST 11 February 2021.