労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2024年4月25日(木)
政治囚の支援団体Kapatidのスポークスパーソン フィデス・リムは、フィリピンにおける最高齢の政治囚デラ・ペーニャ(85歳)を即座に釈放すべきであると表明。恩赦仮釈放委員会(BPP)が3月11日に、ペーニャの刑期を12年に短縮する減刑勧告を出したため、ペーニャの誕生日である2024年4月23日の時点ですでに刑期は終了しているはずなのである。
ペーニャは、ビコール州出身の農民で、マルコス父時代の戒厳令下、1982年にも拘束されている。勾留中に、地方選挙に出馬し、バランガイ・キャプテンに当選した。また、政治囚支援団体SELDAの創設メンバーの一人で、北カマリネス州支部の議長を務めたこともある。
2013年3月21日、ペーニャは北カマリネス州で第49歩兵大隊に殺人容疑で逮捕された。そして、2023年12月12日、殺人罪で有罪判決を受け、20年から40年の懲役を言い渡された。
12 years in prison, political prisoner wants freedom on his 85th birthday, Bulatlat, April 25, 2024.
◆2024年4月26日(金)
最高裁は、活動家レイナ・メイ・ナシノとその他2人に対して発行された2020年の捜査令状を無効とする、控訴裁判所の判決を支持した。
ナシノらは、2019年11月5日に銃器と爆発物不要所持の容疑で逮捕された。3人は、警察が証拠を仕組んだと反論した。当時、ナシノは妊娠しており、勾留中に拘置所で出産した。
子どもはナシノから引き離され拘置所外で養育されていたが、死亡した。ナシノが最愛の子どもに別れを告げるために与えられた時間は、わずか6時間だった。
SC sides with Reina Mae Nasino, upholds voiding of their search warrants, Rappler, April 26, 2024.
◆2024年4月27日(土)
ケソン州の2人の人権活動家が、2012年テロ資金供与防止・鎮圧法第8条違反で起訴された。
2人は2023年7月に政治囚を訪問した際に食料品を手渡したが、国軍は訴状において、これが 「テロリズムへの資金提供 」にあたると主張している。
Quezon rights defenders charged with terrorism financing, BULATLAT, April 27, 2024.
◆2024年4月27日(土)
武装した企業の警備員による脅しにもかかわらず、カビテ州シラン町タルタリア村の農民団体メンバーらは、土地の権利を主張し続けて抗議活動している。同地における土地紛争は、4月16日から加熱している。
農民団体によると、警備員は不動産コングロマリットのアヤラ・ランド社と共謀するエミリオ・「オランジェ」・アギナルド4世率いるアギナルド一族に雇われている。
Tartaria farmers defend community despite assaults, arson from armed security, Bulatlat, April 27, 2024.
◆2024年4月30日(火)
パッシグ地方裁判所158支部のマヌエル・ジェラルド・トマクルス裁判長は、運輸グループ代表に対する逮捕状を発行した。提起された2件のサイバー名誉毀損罪について、保釈金をそれぞれ1万ペソとした。
Court orders arrest of Manibela head Mar Valbuena over cyber libel charges, Rappler, April 30, 2024.
◆2024年5月1日(水)
マニラのアメリカ大使館付近で抗議行動が行われ、6人の抗議者が警察に逮捕された。
6 arrested at the labor day protest, Bulatlat, May 1, 2024.
◆2024年5月2日(木)
左派系パーティリスト政党連合のマカバヤン・ブロックの議員らが、フィリピン国家警察に対し、マニラの米国大使館付近でのメーデーの集会中に逮捕された6人の活動家を釈放するよう要請した。
Lawmakers call on PNP to release 6 activists arrested on Labor Day, Philstar.com, May 2, 2024.
◆2024年5月3日(金)
左派系パーティリスト政党連合のマカバヤン・ブロックは、ヌエバ・エシハ州カランランに駐屯する国軍第7歩兵師団第84歩兵大隊の兵士らが提出した訴状について、根拠がないと非難した。
兵士らは、同連合のナタナエル・サンティアゴ事務局長ら33人の活動家と人権活動家に対しテロの容疑をかけている。
Makabayan bloc slams terror law charges vs 34 activists, Philstar.com, May 3, 2024.
◆2024年5月3日(金)
反テロ法違反で起訴されたパーティリスト政党「バヤン・ムナ」および左派系パーティリスト政党連合のマカバヤン・ブロックのナタナエル・サンティアゴ事務局長、開発援助ワーカーのロサリオ・ブレンダ・ゴンザレス、教会の信徒労働者のアナササ・サン・ガブリエル、アナクパウィス選挙部長兼元事務局長のセルヴィリャノ・ルナ・ジュニアらが、反宣誓供述書を提出した。
Meet the 4 activists charged with anti-terror law, BULATLAT, May 3, 2024.
Makabayan officer, activists push back vs anti-terror law complaint filed by military, Rappler, May 3, 2024.
◆2024年5月4 日(土)
ブキドノンで行方不明になったベテラン労働者オルグ ウィリアム・ラリオサ(63歳)の家族が、労働組合や人権擁護団体とともに捜索活動を強 化している。
ラリオサは、4月10日以来行方不明になっている。目撃者によると、ラリオサは第48歩兵大隊によって強制的に連行された。
Search for missing labor activist expands in 1st month of disappearance, Bulatlat,May 4, 2024.
◆2024年5月6日(月)
地方裁判所(RTC)判事は、放送作家パーシバル ・「パーシー・ラピド 」・マバサ殺害の自称殺し屋 ジョエル・エスコリアルに対し、8年8ヶ月または16年以下の懲役を言い渡した。
Self-confessed gunman in Percy Lapid killing gets up to 16 years in prison, Rappler, May 6, 2024.
◆2024年5月9日(木)
政治囚の妻がニュービリビッド刑務所へ夫の面会に行った際、職員によって「身体検査」と称し個室へ連れて行かれ、衣服を全て脱ぐこと、裸のままスクワットすること、性器を自分で広げて見せることなどを指示された。
Degrading prison strip searches shame political prisoners’ wives, Rappler, May 9, 2024.
◆2024年5月10日(金)
矯正局(BuCor)は、政治囚の妻らからの苦情を受け、刑務所内でのストリップ検査と腔内検査を一時停止した。
Bureau of Corrections stops strip search policy in prisons amid complaints, Rappler, May 10, 2024.
◆2024年5月10日(金)
国際刑事裁判所(ICC)のクリスティナ・コンティ顧問補佐官は、ドゥテルテ前大統領とロナルド・デラ・ロサ上院議員(元国家警察長官)、オスカー・アルバヤルデ元警察長官の3人が、ICCによる進行中の調査において「調査される可能性がある」と述べた。
ICC lawyer: Duterte faces arrest; Bato, Albayalde being probed, Philstar.com May 10, 2024.
◆2024年5月10日(金)
人権擁護団体が、カビテ州在住のデ・ラ・サール大学-ダスマリニャス校の学生リーダー パオロ・タラに対するNTF-ELCACのメンバーだと名乗る者らからの嫌がらせと監視の事例を報告した。
Cavite student activist decries harassment, Bulatlat, May 10, 2024.
◆2024年5月16日(木)
西ネグロス州タリサイ市在住の学生リーダーでジャーナリスト ローレンス・グゾンが、4月25日以来、国家警察などから脅迫を受けている。
Red-tagged NegOcc student leader remains resolute amid state harassment, Paghimutad – Negros Island People’s Alternative Media, May 16, 2024.