労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2023年6月20日(火)
2023年6月18日(日)未明、南マギンダナオ州で実行された国軍らの合同捜査において、7人の男性が殺害された。彼らの親族は、被害者らは手錠をかけられ殺害された、現金や宝石類がその際に盗まれたと主張した。
Relatives of 7 men killed in Maguindanao del Sur raid decry brutality, seek justice, Rappler, June 20, 2023.
◆2023年6月21日(水)
フィリピン農民運動が、2023年6月19日、南カマリネス州ピリ市においてでっち上げの容疑により逮捕された4人の農民を解放するよう、告訴を取り下げるよう訴えた。
4人は、ナガ空港開発プロジェクトに反対するグループDAMPAのメンバー。保釈金は一人当たり4万8000ペソ(約12万4000円、2023年6月25日の為替レート)に設定された。
同プロジェクトは、200世帯以上の農民から生活の糧を奪い、少なくとも200ヘクタールの優良灌漑農地を侵害し、同地域で生産される年間約130万トンの米を喪失させ、4つの村にまたがる500ヘクタール以上の水田を潤す共同灌漑システムに支障を来すと想定されている。
Free the Pili 4 and drop the trumped-up charges against them!, Kilusang Magbubukid ng Pilipinas – KMP, June 21, 2023.
◆2023年6月22日(木)
ヒママイラン警察のレイナンテ・ジョモカン署長は、共産党軍事部門新人民軍(NPA)が、2023年6月14日にヒママイラン市ブエナヴィスタ村でファウスト家の4人を殺害したと発表した。ジョモカン署長によれば、二人の目撃者が、少なくとも一人のNPA兵士を殺害の実行犯として特定する宣誓供述書を発行した。二人の目撃者は、安全のために警察に保護されているという。
警察は書類作成の途中なので詳しい説明を避けると述べたが(つまり、捜査段階でありNPA兵士はまだ起訴されていない)、西ネグロス州知事は武装闘争を放棄したいと望む人びとの意思を尊重するようにとNPAに対して訴えた。
国家警察は、ファウスト家のメンバーが国軍のスパイだったためにNPAによって殺害されたと主張。生き残ったファウスト家メンバーは、殺害された被害者は国軍のスパイではなかったと否定している。
PNP: Witnesses identify ‘active NPA’ as suspect in Himamaylan massacre, Rappler, June 22, 2023.
◆2023年6月22日(木)
フィリピンにおける人権のための国際連合(ICHRP)は、「ファウスト一家殺害が NPA によるものである」というフィリピン国軍の主張を否定し、真相究明を求める声明を発表した。
ICHRPはまた、ヒママイラン市に隣接するカバンカラン市では、5つの農民団体が国軍第94歩兵大隊による強制や嫌がらせを非難していると報告した。
【補足】同大隊は、一年以上にわたり、ファウスト一家に対しても、家宅捜索する、尋問する、書類への署名を迫るなどのハラスメントを繰り返していた。
Rights groups back probe into Himamaylan massacre; slams AFP claims vs NPA, INQUIRER. NET, June 22, 2023.
◆2023年6月22日(木)
人権擁護団体や教会関係者、ジャーナリストらからなる現地調査チームが、ファウスト一家4人虐殺事件に関する調査のために現場へ向かった。しかし、現地調査チームは、ヒママイラン市に設置された検問所で政府系民兵部隊(CAFGU)の兵士らによって一時的に拘束された。また、チームは、国軍の諜報員と想定される者に尾行された。
現地調査チームは、今回の調査においてファウスト家のメンバーに会うことはできなかった。
Facebook page of Paghimutad – Negros Island Alternative Media, June 22, 2023.
Tweet of Paghimutad Negros Island@paghimutad, June 22, 2023, 15:52.
◆2023年6 月23日(金)
ボホール州裁判所は、2023年6月21日、赤タグ付けされた元村会議員で活動家のカルミロ・タバダに対する銃器や爆発物の不法所持に関する起訴を棄却、無罪とした。
タバダは2021年6月25日午前1時に、ボホール島トリニダッドの自宅で、フィリピン国家警察と犯罪捜査・摘発グループ、フィリピン国軍の合同部隊によって逮捕された。家族と人権団体は、国家警察と国軍が彼の自宅に銃器と爆発物を仕掛けたと述べた。
タバダは2022年12月5日に保釈されていた。
NEWS | Bohol court acquits red-tagged peasant advocate and barangay councilor, Facebook page of ANINAW Productions, June 23, 2023.
◆2023年6 月24日(土)
憂慮する教員同盟(ACT)は声明において、ACTメンバーのプロファイリングに関する教育省の指令を無効にするよう訴えた。
2023年6月14日に発行されたレヴシー・エスコべド教育省副長官の署名入り覚書において、教育省地域局長と学校部門長は、それぞれの管轄下にあるACT所属教員のリストを提出するよう指示された。
ACT decries DepEd memo on ‘profiling’ of teachers, The Philippine Star, June 24, 2023.