【人権侵害タイムライン】2023年3月27日~4月2日

【写真出典】US lawmaker reintroduces bill to suspend US security aid to the Philippines, Philstar.com, March 28, 2023., ALERTO, Agricultural Workers Denounce the Abduction and Disappearance of Two Sugar Field Workers in Batangas, Facebook Page of UMA, March 28, 2023., Sara rejects peace negotiations with Reds, The Philippine Star, March 31, 2023.

労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。


◆2023年3月28日(火)

フィリピン農村部宣教師団(RMP)ミンダナオ北部支部の出納係アンジェリン・マグドゥアが、テロ資金調達への加担を罰する共和国法第10168号(2012年テロ資金供与防止・抑制法)違反で有罪になったと、司法省が発表した。違反は55件だという。

2012年テロ資金供与防止・抑制法違反による有罪判決は同法制定以来初めてで、今後、同法に基づく訴追の基礎になると考えられる。

ミンダナオ人民弁護士連合(UPLM)は声明において、the Public Attorney’s Office(公設弁護人事務所)が3月16日に罪状認否のためにマグドゥアをイリガン市の地域裁判所へ提示し、そこで、罪状の司法取引を提案したと述べた。 UPLMによると、裁判所は3月16日に、マグドゥアを主犯格ではなく従犯者へ格下げし、55の訴因で有罪とする司法取りきに同意したという。

NGO cashier convicted of terrorist financing for NPA, The Philippine Star, March 28, 2023.
Lawyers group slams conviction of cashier over terror financing sans trial | News |, GMA NEWS ONLINE, March 31, 2023.


◆2023年3月28日(火)

3月27日、国際刑事裁判所(ICC)の控訴審部は、フィリピン政府からの「ドラッグ戦争に関するICC調査再開に関する認可を取り消すように」という要請を退けた。

ICC Appeals Chamber denies Philippine request to suspend ‘drug war’ probe, Philstar.com, March 28, 2023.

◆2023年3月28日(火)

人権団体カラパタン南タガログ支部は、武装集団が3月26日15時頃に、アルフレッド・マナロとロイド・デスカラーを拉致したという報告を受けたと発表した。

カラパタンによれば、二人は真の農業改革のための砂糖労働者団体(SUGAR)のボランティアで、バタンガス州にあるセントラル・アズカレラ・ドン・ペドロ社(CADPI)の製糖工場閉鎖によって影響を受ける農民らの相談を受けていた。

SUGARはサトウキビ生産者らの支援を初めて以来、中傷や赤タグ付けなどの嫌がらせに直面してきたと、カラパタンは指摘した。

全国砂糖労働者連盟などによれば、CADPI製糖工場の突然の閉鎖によって、同工場において5月までに製糖されるはずであった8284ヘクタールに植えられた44万5274トン(4万トンの粗糖に相当)のサトウキビが廃棄される。1万2000人のサトウキビ農場労働者と4000人以上のサトウキビ小農が影響を受けると想定される。元手の回収はできず、今期の収入もゼロになる。

※8284ヘクタールは伊豆大島の一回り小さいくらいの広さ。

2 men allegedly abducted by armed men in Batangas, says rights group, INQUIRER. NET, March 28, 2023.
ALERTO, Agricultural Workers Denounce the Abduction and Disappearance of Two Sugar Field Workers in Batangas, Facebook Page of UMA, March 28, 2023.


◆2023年3月30日(木)

フィリピン国家警察(PNP)は、3月29日に、プライド・ヘンリー・テヴェス前バヤワン市長(以下、プライド前バヤワン市長)に対し、違法銃器・爆発物所持の罪で司法省(DOJ)に提訴したと報告した。

プライド前バヤワン市長の兄アーノルフォ・「アーニー」・テヴェス・ジュニア下院議員も、同様の容疑や2019年に東ネグロス州で発生した複数の殺人事件の容疑で提訴されている。また、2023年3月に発生した東ネグロス州ロエル・デガモ知事殺害事件への関与も疑われている。

PNP files raps vs Teves brother over guns, explosives, The Philippine Star, March 30, 2023.


◆2023年3月31日(金)

サラ・ドゥテルテ副大統領はマルコス大統領に対し、3月30日の声明において、ACT党のフランス・カストロ議員による共産党との和平交渉再開の提案には乗らないよう述べた。

Sara rejects peace negotiations with Reds, The Philippine Star, March 31, 2023.


◆2023年3月31日(金)

「血の日曜日」で殺害された夫婦の死をめぐる、17人の警官に対する殺人罪の起訴が却下されていたことが、3月31日に公表された。決議は、2022年12月5日付。

2021年3月7日(日)、ラグナ州、リサール州、バタンガス州で、国家警察と国軍の合同部隊が活動家ら9人を殺害し、6人を逮捕した事件。事件が起きた曜日から、「血の日曜日」と呼ばれる。ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領が、国家警察と国軍に、共産主義者の反政府勢力を殺し、仕留めよと指示した二日後のことだった。

DOJ junks murder raps vs 17 cops over death of couple killed in ‘Bloody Sunday’, Rappler, March 31, 2023.

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