17人の警官を送検 「血の日曜日」でのエヴァンジェリスタ夫妻殺害容疑 

【写真】アナ・マリス・レミタ・エヴァンジェリスタ(左)、アリエル・エヴァンジェリスタ(左から2人目)、エマニュエル・アサンション(左から3人目)/via Bloody Sunday: 5 activists dead, mass arrests in Southern Tagalog, DAVAO TODAY, March 7, 2021.

【17日=東京】1月14日、フィリピン国家捜査局(NBI)は、国家警察-犯罪捜査・取り調べグループ(CIDG)所属の警官と職員17人を、「血の日曜日」事件で殺害されたエヴァンジェリスタ夫妻殺害の容疑で司法省へ送検した。人権擁護団体などは、ドゥテルテ大統領をはじめ、その指揮をとった元警察庁長官や地方共産党の武力紛争を終わらせるための全国タスクフォース(NTF-ELCAC)なども、責任を追及されるべきであると訴えている。

―「血の日曜日」事件における殺人容疑

 17人は、漁民団体リーダーのアリエル・エヴァンジェリスタと妻のアナ・マリス・レミタ・エヴァンジェリスタ殺害の容疑で送検された。エヴァンジェリスタ夫妻は、2021年3月7日(日)に、国家警察と国軍の合同部隊がカラバルソン地方で実行した一斉家宅捜索の際に殺害された。この時、同地方の3州で夫妻を含む活動家9人が殺害され、4人が逮捕され、「血の日曜日」として知られる。国家警察は、9人は捜査の際に反撃したので射殺したと主張した。
 エイドリアン・スガイ司法次官によれば、容疑者の名前は、検察庁が容疑者に出頭し訴状に回答するよう指示する召喚状を発行した時点で明らかになる。司法省は、今後、予審を開始する。

― 人権団体などは、殺害の意図を明らかにし、命令者の責任を追及するよう要求

 人権擁護団体カラパタンは、被害者が撃ってきたから殺害したとの国家警察の主張を否定し、この事件はドゥテルテ大統領が3月5日に、国家警察や国軍に対して共産主義者を殺せ、人権を無視しろと公言したことに関連していると述べた。
 さらに、行政命令第35号に基づき設置された、政治的意図をもった殺害を担当する特別捜査タスクフォース(IAS)に対して、この殺害を扇動したとされるNTF-ELCACやデボルド・サイナス元国家警察長官、捜査令状を発行した裁判官らも調査対象にするよう要求した。
 左派系団体の連合バヤンのレナト・レイエス事務局長は17人の送検を歓迎し、この送検が、超法規的殺害(EJK)に加担し、捜査令状を武器にするような法執行機関への警告になると評価した。同時に、殺害の意図が明らかにされるべきであると主張した。
 他方、司法省は、17人の送検はフィリピン国内の説明責任メカニズムが機能していることを示す心強い兆候であると評価している。

―「血の日曜日」事件に関する2件目の送検

 今回の17人の送検に先立ち、2021年12月、「血の日曜日」事件で殺害された9人の活動家のうち、バヤンのカビテ支部コーディネーター エマニュエル・アサンション殺害に関して、カラバルソン地方警察署やCIDGに所属する警官17人が殺害容疑で送検されている。カラパタンによると、アサンションは午前5時30分頃、カビテ州ダスマリニャスで殺害された。合法的な捜査令状ならば応じると交渉したが、アサンションは、合同部隊によって一緒にいた配偶者から引き離され、銃殺された。正面から3発、背後から3発撃たれていた。
 さらに、同事件の被害者である都市貧困層グループのメルヴィン・ダグシナオおよびマーク・バカスノ殺害についても、送検のための捜査が進行中である。だが、IASは、ドゥマガッツ・プロイ・デラ・クルスとランディ・「プロン」デラ・クルスの殺害を捜査から除外している。彼らがNTF-ELCACに「赤タグ付け」されていたから、政治的意図ではないという。それに対し、バヤン南部タガログのキャセイ・クルスは、政治的意図はないとなぜ断定できるのか疑問を呈した。また、クルスによれば、デラ・クルスの親戚は彼らを殺害した容疑者らを運んだトラックを証明できるという。デラ・クルスはコミュニティのリーダーで、中国出資のカリワダム建設に反対していた。

― エヴァンジェリスタ夫妻殺害

 カラパタンによると、エヴァンジェリスタ夫妻は、2021年3月7日午前4時、バタンガス州ナスグブで合同部隊による家宅捜索の際に殺害された。近隣者は、銃声と許しを請う叫び声を聞いた。ベッドの下に隠れていたエヴァンジェリスタ夫妻の子ども(10)は、殺害を目撃した。
 二人への捜査令状は、マニラ地方裁判所のジェイソン・ザパンタ裁判官から発行された。これについて最高裁は、管轄外の裁判官が発行した捜査令状自体を無効とし、さらに、その後、国家警察に対し捜査時のボディーカメラ装着を義務付けた。
 エヴァンジェリスタ夫妻殺害に関する17人の送検は、国連の特別報告者メアリー・ローラーらが、「血の日曜日」に殺害された5人の人権活動家殺害に関する追加情報を求めた3日後に実行された。ローラーらは、2021年10月28日に、60日以内に追加情報を提出するようフィリピン政府に要請していた。

〈Source〉
‘Deliberate intent to kill’: 17 cops face murder for 2 Bloody Sunday killings, Rappler, January 14, 2022.
DOJ moves, sues cops for murder in 1 of 9 Bloody Sunday kills, Rappler, December 1, 2021.
Murder raps filed vs cops in ‘Bloody Sunday’ raids, INQUIRER. NET, December 2, 2021.
NBI files murder complaint at DOJ vs 17 policemen tagged in ‘Bloody Sunday’ killings of fisherfolk leaders, ABS-CBN, January 14, 2022.
NBI files murder charges vs cops involved in ‘bloody Sunday’, SunStar, January 14, 2022.
NBI files murder raps vs 17 cops in ‘Bloody Sunday’ raid, INQUIRER. NET, January 14, 2022.
Philippines: killings of five Human Rights Defenders (joint communication), UN HUMAN RIGHTS SPECIAL PROCEDURES, January 11, 2022.
17 more cops charged for ‘Bloody Sunday’ slays, INQUIRER. NET, January 15, 2022.
17 cops in ‘Bloody Sunday’ raids face murder complaint , CNN Philippines, December 1, 2021.

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