今回より、労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2023年1月16日(月)
1月10日から行方不明になっていたセブの活動家ディアン・グマナオとアルマンド・ダヨハが発見されたと、家族が明らかにした。家族は、10日から3日間二人と連絡が取れなくなったので、国家警察などに支援を求めていた。
グマナオとダヨハは、フィリピン大学セブ校在籍中から、活発な活動家として知られ、2020年以来、持続的に監視されていると周囲の人びとに報告していた。グマナオは、反テロ法案への反対デモの際に逮捕された8人のうちの一人である。また、2022年1月、メンディオラの虐殺を記念する平和的な抗議行動の後にも、国軍兵士と思われる私服の人物に尾行された。
2 community development workers reported missing in Cebu, The Philippine Star, January 15, 2023.
Missing development workers in Cebu finally reunite with families, Rappler, January 16, 2023.
◆2023年1月18日(水)
司法省の検察審査会は、労働団体リーダーのエマニュエル・「マニー」・アサンション殺害における17人の警察官への殺人事件の訴状を棄却。
2021年3月7日、国家警察と国軍からなる合同部隊が、バタンガス州、カビテ州、ラグナ州、リサル州において同時に実行した作戦の中でアサンションを殺害した。この時、アサンション以外に8人が殺害され、この事件は「血の日曜日」として知られている。
合同部隊は、アサンションが武器をもって抵抗したと主張。家族は、アサンションは武器など持っておらず、一緒にいた配偶者から引き離され殺害されたと主張。彼は、正面から3発、背後から3発撃たれていた。
Murder raps vs. 17 cops in ‘Bloody Sunday’ raids dismissed, IINQUIRE. NET, January 18, 2023.
17人の警官を送検 「血の日曜日」でのエヴァンジェリスタ夫妻殺害容疑, Stop the Attacks Campaign, 2022年1月17日.
◆2023年1月18日(水)
フィリピン税務控訴裁判所は、1月18日に、2018年にドゥテルテ前政権によって提訴された4件の脱税容疑について、ノーベル平和賞受賞者のマリア・レッサと同氏が代表を務めるラップラー・ホールディングス社(RHC)を無罪とした。
Philippine court acquits Nobel laureate Maria Ressa, Rappler of tax evasion, Rappler, January 18, 2023.
◆2023年1月19日(木)
憂慮する教師同盟(The Alliance of Concerned Teachers、以下、ACT)は、バギオ市にあるフィリピン科学高校の構内で地方共産党の武装闘争を終わらせるための国家タスクフォース(以下、NTF-ELCAC)が赤タグ付けを推進するセミナーを開催したこと、学校管理者が高校2、3年生を通常授業を免除してまでその活動に参加させたことを糾弾した。
Press Release, Facebook page of Alliance of Concerned Teachers-Philippines, January 19, 2023.
◆2023年1月20日(金)
5人の刑務官が、2020年3月に発生したとされる拷問について、停職中の矯正局長官ジェラルド・バンタッグを拷問禁止法違反で訴えた。
5 corrections officers accuse Bantag of torture, ABS-CBN News, January 20, 2023.