バナナ・プランテーション労働者 復職と支援を求めてライブ 

【写真】演奏を披露するシニング・オブレロ (統一労組ナマスファから提供)

【17日=東京】日本のスーパーでみかけるスミフルのバナナ。フィリピン・ミダナオ島にある、スミフルのバナナの出荷工場で働き、解雇された労働者たちが「シニング・オブレロ」(タガログ語で「働く者たちのアート」)というバンドを作り、活動を続けている。5月15日、ダバオ市内のカフェ・レストランでライブを開き、復職と支援を歌に込めた。

― 思いをバラードにのせて

 この日のライブは、フィリピン各地で広がる「地域の食料庫」運動を支援する一環で開催された。「シニング・オブレロ」は2組目で登場した。ボーカルを担当するのが、ジャミラ・セノさんだ。セノさんはこの日、権利を求める女性の強さを歌ったバラードで、観客の心をつかんだ動画

【動画】Sining Obrero LIVE , Davao City, Mindanao, Philippines

― 労働環境改善を訴えた労働者749人が解雇

 家族を支えられないほどの賃金の低さ、出荷工場での仕事は立ちっぱなしで深夜にまで及ぶこともあった。こうした低賃金・長時間労働の実態を少しでも改善しようと、セノさんたちは会社側と交渉していたが、2018年10月1日にストライキを打った。八つの出荷工場が「統一労組ナマスファ」をつくり、スミフルに正規雇用と団体交渉を要求した。しかし、会社側はストに参加したことを理由に749人全員を解雇した。

 フィリピンの中央労使関係委員会は2019年1月30日、組合員の解雇理由として挙げられた事実は証拠不十分で認められない、として解雇を取り消すよう、スミフル側に求める決定をした。フィリピン最高裁も2018年6月7日、一つの出荷工場の労働者については、スミフルとの間に直接雇用関係があると認定する判決が出ている。翌2019年の8月6日には国家労使関係委員会の法執行官が執行令状をもとにスミフルに対して直接復職を求めたが、いまだに復職は実現していない。

― FoE Japanらも統一労組ナマスファに連帯

 シニング・オブレロは、進展しない事態を音楽を通じて変えていこうと、2019年から活動を本格的に開始した。フィリピンの社会運動や労働運動では音楽や演劇といった文化活動を通じて自分たちの主張や要求を社会に訴える手法がとても盛んだ。

 統一労組ナマスファでは、解雇された仲間たちの生活を支えるカンパを呼びかけている。国際環境NGO FoE Japan が日本側の窓口になっている。FoE Japan はカンパの詳しいやり方を記載した特設のサイトを公開している。

〈Source〉
The post on Facebook of Sobrecarey Community Pantry, May 13, 2021.
木村英昭, 2019, 「バナナと日本人 戒厳令の島から──第9回『殺されると思う。帰れない』」.

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Painting:Maria Sol Taule, Human Rights Lawyer and Visual Artist

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