大統領候補、インタビューに
答える4人と逃げる1人

【写真】回答者:左からイスコ・モレノ マニラ市長、レニー・ロブレド副大統領、パンフィロ・ラクソン上院議員、マニー・パッキャオ上院議員、司会者:ジェシカ・ソーホー、欠席:フェルディナンド「ボンボン」マルコス・ジュニア元上院議員/via Lacson, Moreno, Pacquiao at Robredo, sumabak sa "The Jessica Soho Presidential Interviews" | 24 Oras, GMA News, January 21, 2022.; Marcos skips GMA-7's The Jessica Soho Presidential Interviews, philstar, January 21, 2022.

【東京=26日】1月22日、人気ニュースキャスターのジェシカ・ソーホー司会による3時間にわたる大統領候補インタビューが、GMAネットワークで放送された。300万人を上回る視聴者の前で、それぞれの候補者は、フィリピンが直面する多くの問題に対して自らの立場や考えを主張した。現在のところ、2022年大統領選挙の有力候補は、フェルディナンド「ボンボン」マルコス・ジュニア元上院議員、イスコ・モレノ マニラ市長、マニー・パッキャオ上院議員、レニー・ロブレド副大統領、パンフィロ・ラクソン上院議員の5名に絞られている。

―「ボンボン」マルコス候補、インタビューを欠席

 1月22日、マルコス陣営は当日に予定されていたジェシカ・ソーホー司会による大統領候補者インタビュー番組に欠席することを発表した。マルコス陣営のビクター・ロドリゲス報道官は、「ジェシカ・ソーホーの人気番組は、反マルコスに偏っているため、私たちは彼女からの質問がBBM(「ボンボン」マルコス)の評判を貶めることに集中することを疑わない」とその理由を公表した。
 マルコス陣営からの欠席表明の後、当該番組を持つ放送局GMAネットワークは、次のようなコメントを公表した。ソーホーは国内外においてフィリピンで最も信用あるメディア司会者であり、フィリピンで最も信頼されるメディア(GMAネットワーク)を利用して他の4人の候補が自らの政策を国民に説明する一方で、その招待を断る「ボンボン」マルコスの判断を残念であると述べた。さらに、大統領という厳しい地位に就こうとする者が厳しい質問から逃げる姿勢を示すことに疑問を投げかけ、このような「ボンボン」マルコスの姿勢が国民の判断に重要な情報を与えていることを強調した。
 また、既に同番組に出演したラクソン上院議員は、自分も厳しい質問を受けたことを紹介し、それがジャーナリストの仕事だと番組に肯定的な意見を述べている。

― 質問に一言で回答

 1月22日の大統領候補インタビューに参加した4人の大統領候補者に対して、ソーホーは、まずいくつかの写真を見せて、一言での回答を要求した。警察の職権濫用の写真に対して、ラクソンは「正義(hustisha)」、モレノは「アカウンタビリティー(Panagutan)」、パッキャオは「かわいそう(kawawa)」、ロブレドは「心が引き裂かれる(nakakadurog)」と回答。続く、台風被害の写真に対し、モレノは「素早い行動(bilis kilos)」、パッキャオとラクソンは「かわいそう(kawawa)」、ロブレドは、「荒廃(devastation)」と答えた。
 その他、マラカニヤン宮殿、ファーマリー社ロゴ、栄養失調の赤ん坊、いくつかの国の国旗、ドロマイトビーチ、リモートクラス等の写真が示され、それぞれが回答した。

― ドラッグキャンペーン

 第二の問題として、ソーホーが取り上げたのは、ドラッグへの政府のキャンペーンについてである。ラクソンは、キャンペーンは包括的であるべきで、政府が現在行っている取り締まりだけでなく、予防やリハビリにも力を入れるべきであるとし、キアン・デロス・サントス(当時17歳)殺害を例に挙げ、彼の政権では警察にそのような職権濫用を許すことはないと断言した。
 モレノは、ドラッグ戦争は継続すべきとしつつも、容疑者の人権には敬意を払うべきとの立場を語った。
 パッキャオもドラッグ戦争継続の意思を示すとともに、「正しい方法」で行われるべきであり、法を犯すものが罰せられるのは、市民であれ警察であれ同様であると強調した。
 ロブレドは、自分が過去に反ドラッグ委員会(ICAD)の副委員長であった時のことに触れ、ドラッグへの継続的かつ精力的な対応の重要性を強調し、委員長の際に提案した罰則の執行ではなく政策立案といった別アプローチの模索にこそICADが力を注ぐべきであったと述べた。(ドゥテルテ大統領は、2019年11月に、上記のような彼の方針とは異なる意見を持つロブレド副大統領をICAD副委員長から解任している。)

― 国際刑事裁判所への再加入について

 国際刑事裁判所への再加入については、4人とも再加入する方針を示した。また、国際刑事裁判所がドゥテルテ大統領を処罰すべきかとのソーホーの質問に対し、パッキャオは、ドゥテルテ大統領に問題があるのであれば処罰すべきとの考えを示し、ロブレドは、未だ調査中の段階であることを理由にドゥテルテ大統領への対応に対して明言を避けた。また、モレノは否定し、ラクソンは肯定的に回答した。

― その他の焦点

 ソーホーは、その他にも、大統領を含めた官僚の資産等の国民への公開、西フィリピン海の主権問題、ソーシャルメディア等における情報操作の問題、海外労働者への人権侵害やその保護、政府のコロナ対策に不足する点、政治エリートによるフィリピン支配についての立場等、数多くの質問を行い、それぞれの大統領候補がそれらに対して自らの意見を表明した。

〈Source〉
After skipping Jessica Soho interview, Marcos accuses award-winning journo of bias, Philstar, January 22, 2022.
[OPINION] On Bongbong Marcos’ absence from the Jessica Soho presidential interviews, Rappler, January 23, 2022.
Robredo, Pacquiao, Lacson, Moreno describe events, issues in one word, GMA News, January 22, 2022.

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