「ボンボン」マルコスの大統領候補資格取り消しをめぐる最後の闘争

【写真】選挙管理委員会グアンソン委員/via Guanzon denies delaying release of ruling on Marcos DQ cases, Philippine News Agency, January 19, 2022.

【東京=2日】フェルディナンド・「ボンボン」マルコス・ジュニア(以下、「ボンボン」マルコス)の大統領出馬資格の失効を求める八つの請願に対し、2月前半、漸く、最終結審が下るものと予想される。最後まで引き伸ばされた審議は、予想されたように、脱税をめぐる請願であり、結審が先か、それとも「ボンボン」マルコスの資格に否定的な選挙管理委員会のロウェナ・グアンソン委員の引退が先かという点に注目が集まっている。グアンソン委員は、2月2日に引退を迎える。

― 遅れる審査報告手続き

 脱税をめぐる第1審査部による審議は、1月17日に最終決定が公表されるものと予想されていた。だが、当日に発表があったのは、第2審査部による別の理由に基づく大統領出馬資格取り消し請願の却下に関する報告のみであった。選挙管理委員会のルールで規定されている15日という審議期間は、既に過ぎている。審査前段階での「ボンボン」マルコスによる牛歩戦術ともいえる回答の遅れも合わせると、1ヶ月以上もの期間、結審が遅れていることとなる。

― グアンソン委員、最終手段の行使?

 決定が2月2日以降に延長されると、グアンソン委員の意見が完全に排除される可能性がある。同委員は退職1週間前の1月26日以降、積極的に自身の意見や審議報告内容をツイッターとメディアインタビューを通して公表しはじめた。その中で、①グアンソン委員は、未だ決議文書(ポネンシア)を作成していないアイミー・フェロリノ委員に対して、31日の昼までに公表するよう要求していること、②1月17日にフェロリノ委員が決議文書を完成させることになっていたにもかかわらず、政治家の介入により同委員が手続きを意図的に遅らせていること、③グアンソン委員は自身の審査報告書の中で、4年間も税金を支払っていないことから「ボンボン」マルコスは不道徳の罪(a crime of moral turpitude)にあたるとし、自身の決議文書において彼は大統領候補としての資格なしとの判断を下したことなどを明らかにした。
 また、27日に行われたラップラー社からのインタビューでは、失格理由を不道徳の罪とする点に焦点が当てられ、「一般のフィリピン人でさえ、税金を払わないとそれは悪いことだと知っています。彼は税金を4回支払わなかった。そして有罪判決を受けたとき、彼は罰金さえ支払わなかった」と説明した。

― グアンソン委員への批判

 グアンソン委員の早過ぎる公表に対し、マーロン・カスケホ議長、フェロリノ委員、そして、マルコス陣営から強い批判が出された。
 フェロリノ委員は、グアンソン委員の発言は中立的な立場の委員に圧力をかけて自分の意見に沿わせようとする不適切なものであると強調し、グアンソン委員のメディアへの問題行動を正す対応をとるようカスケホ議長に要求した。また、「ボンボン」マルコスを擁立するPFP党は、未決定情報のリークというグアンソン委員による行為の違法性を指摘し、選挙委員会に規定違反かどうか調査するよう強く要求した。

― 残りの2票か、グアンソン委員排除か、それともドゥテルテの介入か?

 グアンソン委員の公表により、3人の委員のうちの1人、つまり、同委員が「ボンボン」マルコスの出馬資格失格に一票入れていることが明らかとなった。残りの2人であるカスケホ議長とフェロリノ委員の判断が注目されるが、状況次第ではグアンソン委員の決議文書そのものが無効となる可能性もある。
 ダバオ市第1区の元選挙員だったカスケホ議長は、2018年に、ドゥテルテ大統領によって抜擢され、選挙管理委員会の議長となった。また、北ダバオ州の選挙監督者だったフェロリノ委員も、2020年にドゥテルテ大統領に抜擢され、第1審査部の審査委員の席に座っている。両者の経歴だけを見れば、ドゥテルテ大統領が自身の意向を強く反映し得る状況ともとれる。

〈Source〉
Marcos party wants Guanzon disbarred for leaking vote, ABS-CBN, January 28, 2022.
Comelec’s Guanzon sets ultimatum for peer to release Marcos case resolution, Inquirer, January 30, 2022.
Comelec commissioner wants chief to review Guanzon’s actions on Marcos case, philstar, January 29, 2022.
Fact check: No decision yet on disqualification petitions vs Marcos, philstar, January 18, 2022.
Ferolino fights back: Guanzon trying to influence my decision on Marcos case, Rappler, January 28, 2022.
Guanzon votes to disqualify Marcos Jr., says ponente ‘incommunicado’, Rappler, January 27, 2022.

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