マニラ湾リハビリテーションプロジェクト 生活手段喪失の危機に直面する漁民

【写真】マニラ湾で漁をする漁師/via Facebook page of PAMALAKAYA Philippines (posted on April 18, 2021.)

【15日=東京】ドゥテルテ政権の目玉プロジェクトの一つ、マニラ湾のリハビリテーションプロジェクトで、ムール貝と牡蠣の養殖業者や漁民と多くの養殖施設の解体を進めたいフィリピン政府との間で、緊迫した交渉が続いている。

― 禁止されるべきマニラ湾汚染の原因! – DENR ベニー次官

 環境天然資源省(DENR) ベニー・アンティポルダ次官は、マニラ湾で許可なく作成・利用されている漁師小屋と魚籠の解体を9月7日よりカビテ地域から開始すると述べた。彼によると、この解体作業は、マニラ湾リハビリテーションプロジェクトの一環であり、海を汚染する違法な材料を利用した養殖用の小屋や魚籠等は禁止されるべきであり、環境を汚染しない他の方法に進化する必要がある。

― 小規模漁民は受益者か、被害者か?

 マニラ湾サイト調整/管理オフィス地域コーディネーターのシンシア・N・ロザルド代表は、違法漁業の構築物がなくなれば、小規模漁民は自由に漁ができるようになり、低賃金しか得られない違法養殖から解放されるため、利益を受けることになるだろうと語る。しかし、漁民を中心に反対運動を組織するPAMALAKAYAは、マニラ湾に生活手段を依存する漁師と住民の少なくとも1万5000人が直接被害を受けるとの認識を示す。また、PAMALAKAYAのフェルナンド・ヒカップ委員長は、9月7日にDENR本部の前で、次のように述べた。
 廃液や廃棄物をしばしば排出している他の商業構造物と比べて、マニラ湾の養殖業は、海洋の生物多様性を傷つけていない。DENRによる排除の真の狙いはリハビリテーションではなく小規模漁民のマニラ湾からの排除であり、それは、カビテ州バコール市で計画されている大規模埋め立て計画を進めるために他ならない。今回の排除は「不当で反漁民的」である。

― 反対運動、そして解体作業の延期

 解体作業の開始が予定されていた9月7日、マニラ湾とDENR本部前で、解体作業に反対する漁民やNGOによるデモ活動が行われた。漁民はボートの上でメッセージの書かれたプラカードと旗を振りかざし、ビジネスよりも自分たちの生活手段を優先するよう政府に訴えた。ABS-CBNのインタビューに答えた漁民は、養殖構造物解体の次に政府がどのような決定を行うのか恐れていることを語った。
 同日、DENRは、解体作業の延期を発表した。PAMALAKAYAのヒカップ委員長は、「解体の延期は、生活手段を奪われようとする数千人の漁民の最初の勝利である」と述べた。

〈Sauce〉
‘Calamity’: Fisherfolk, families protest planned demolition of Manila Bay fish pens, mussel farms, ABS-CBN, September 7, 2021.
Demolition of fishing structures in Cavite to push through, says DENR, Rappler, September 8, 2021.
Demolition of illegal fish pens, cages in Manila Bay starts today – DENR, Business Mirror, September 7, 2021.
Mussel, oyster farmers to lose livelihood in Manila Bay rehab, Business World, September 6, 2021.

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