【30日=東京】ドゥテルテ大統領の訴追はあるのか? 国際刑事裁判所(ICC)が、ドゥテルテ政権でエスカレートする「違法薬物撲滅戦争(ドラッグ・ウォー)」の被害者に情報提供を呼びかけている。国際司法裁判所はこの呼びかけを「訴追の手続きへの参加申請ではない」としているが、訴追に向けた証拠固めを本格化させたといえる。
─ 専用のページを開設
国際刑事裁判所は「被害者は国際刑事裁判所の法的枠組みに従って陳述書を提出する権利がある」として、専用のページを設けた。ビデオやオーディオなどのフォーマットでの提出も可能。提出は8月13日まで。
国際刑事裁判所のファトゥ・ベンスダ主任検察官は14日、フィリピンのドゥテルテ大統領が進める「ドラッグ・ウォー」における人道に対する罪を徹底的に捜査することを求める声明を発表、予備審査部に捜査の認可を申請した。ドゥテルテ大統領がダバオ市長や副市長を務めた2011年から2016年の期間も捜査対象期間にするよう求めた。
─「協力なければ立件は困難」
ドゥテルテ政権はすでに国際刑事裁判所への協力を拒む姿勢を鮮明にしている。報道によると、ハリー・ロケ大統領報道官はメディアブリーフィングで「国際刑事裁判所は、国(フィリピン)の協力がなければ立件は困難なことを知っている」と述べたという。
ドゥテルテ大統領の訴追求めるアクション
「国際刑事裁判所はドゥテルテ大統領を訴追せよ!」──。マニラ首都圏では30日、そんなスローガンを掲げる街頭行動があった。2021年ウィリアム・D・サベル人権賞を受賞したフィリピンの人権監視NGOカラパタンなどが参加した。ネグロス島でも同様なアクションが開催された。カラパタンは同日、「自由を愛するすべてのフィリピンの人々に呼びかけます。ドゥテルテ大統領の専制的な支配に立ち向かい、殺害をやめるよう主張することを」との声明を発表した。
〈Source〉
International Criminal Court, 2021, Victim representation process in the Republic of the Philippines situation.
ICC calls for information, concerns from PH drug war victims, CNN Philippines, June 29, 2021.
Karapatan indicts Duterte for fascist attacks on the people on his last year, asserts call for ICC to probe PH rights crisis, Karapatan, June 30, 2021.