【9日＝東京】8月2日、フィリピン統計局が『2021年6月労働状況』を公表した。フィリピンの失業者は376万人、労働者人口の実に7.7%に達し、8月６日から20日に実施される首都圏ECQ(強化されたコミュニティ隔離措置）によって、さらに30万人以上の雇用に影響が出るという。
― 依然高水準の失業率7.7%
フィリピン統計局デニス・マパ統計官は、6月のフィリピンの労働状況について、次のような報告を行った。
フィリピン人の失業者は、376万人であり、この数字は労働者人口の実に7.7%に達する。失業者の数こそ5月からの2ヶ月で3万人増加しているが、労働者の総数も増大したことから、失業率に変化はない。
４月に実施された首都圏ECQ（強化されたコミュニティ隔離措置）期間の失業者414万人、失業率8.7%という労働状況は改善されてきており、5月、６月の2ヶ月間で労働者は36万人増加した。
また、これまでの雇用状況の推移を基に、マパ統計官は、隔離措置の強化レベルが雇用の創出と喪失に与える影響は大きく、強化レベルを修正ECQへと一段階下げたことが５月と６月の雇用数の回復につながっていると述べた。
― ワクチン接種加速でECQを正当化
ドゥテルテ大統領の経済管理官は、マパ統計官の報告を引用し、雇用回復に不可欠な制限措置の大幅な緩和をより早い時期に実現するために、8月６日から20日まで、より厳しい隔離措置が必要であると訴えた。さらに、この期間の雇用への悪影響の可能性に触れつつ、ワクチン接種を加速するためにも、今回のECQを最大限利用すると述べた。
― 30 万人以上の労働者にECQの影響
同日に開催されたメディアフォーラムにおいて、労働雇用省のドミニク・トゥナイ次官補は、ECQによる労働者への影響について、次の報告を行った。
12万7千人の労働者が、８月に実施される首都圏ECQの影響を受けるだろう。この数は、フレックス制の適用で労働日数を減らされることになる首都圏労働者の人数である。さらに、首都圏外も含めると30万人を越える労働者が影響を受ける。加えて、隔離措置の動向次第では、影響を受ける労働者がさらに3万から４万人ほど増加するだろう。
― 雇用の低迷に追い打ちをかけるインフレ率の上昇
フィリピン統計局が毎年発表している7月のフィリピン失業率は、2019年5.4％、2020年10%、そして、2021年6月は7.7%である。また、雇用状況の低迷する状況下で8月5日に公表された物価推移に関する報告では、7月のインフレ率は前の月の4.1%とほぼ変わらない4.0%であった。2019年、20年においてインフレ率の平均が2%台で推移していたのと比べ、2021年１月からは、毎月4%以上の高い値を維持してきている。
<Source>
DOLE says ECQ to affect 127k workers in NCR, Philippine News Agency, Aug. 2, 2021.
Employment Situation in July 2019, Philippine Statistics Authority, 2019.
Employment Situation in July 2020, Philippine Statistics Authority, 2020.
3.76 million Filipinos jobless in June, Philippine Daily Inquirer, Aug. 4, 2021.
Summary Inflation Report Consumer Price Index(2012≒100):July 2021, Philippine Statistics Authority, 2021.
世界最長のロックダウンへ 新型コロナワクチンへの不安に大統領は恫喝, Stop the Attacks Campaign, Aug. 2, 2021.
