「適正手続に反する」警察の不当逮捕・勾留に判決:解放されるカストロ医師

【写真】カストロ医師の解放を訴える人々/via https://m.facebook.com/freedrnatycastronow/

【東京=6日】3月25日、フィリピンの裁判所は、警察によるマリア・ナティビダッド・カストロ医師の誘拐容疑逮捕に対して、その誘拐容疑を破棄し、拘置所からの釈放を命じるとともに、適切な手続きを経ない警察の行為を厳しく批判した。

― 自由に対する権利に反する逮捕

 3月25日、バユガン市地方裁判所第7支部は、マリア・ナティビダッド・カストロ医師の逮捕・勾留に対して相当な理由がないとして、40日間交流されていたアグサン・デル・スル州拘置所からのカストロ医師の釈放を命じた。彼女の兄、デルフィン・カストロ・ジュニアによると、カストロ医師は30日に拘置所から解放され、親戚や同僚との涙の再会を果たした。

― 逮捕の経緯:同じ事件で2度の違法逮捕・勾留か?

 人権団体カラパタン・カラガ支部の前事務局長でアグサンにおいて20年以上地域保健のために働いていたカストロ医師は、2月18日にメトロマニラの自宅で逮捕された。警察によれば、2018年12月29日にアグサン・デル・スル州で行われたパラミリタリー(民間準軍事組織、民兵)に対する誘拐および不法拘束にカストロ医師が関与した。国家警察と国軍は、カストロ医師がフィリピン共産党中央委員であり、かつ、フィリピン軍事部門新人民軍国民保健局のトップであると主張する。
 上記民兵の誘拐・拘束事件では、2020年に17人の人権団体メンバーが犯行関係者として拘束され、1年以上の拘束の後に2021年11月に地方裁判所の命令により釈放されている。この17人の中にカストロ医師は含まれていなかった。

― 正当な理由なし

 「被疑者に召喚状が発行されないまま予備調査を行うことは、適正手続きに反する」とフェルナンド・フラダン・ジュニア裁判長は裁定した。「故意であれ、不作為の産物であれ、このような手続きは自由に対する権利を著しく傷つけるものである」とフラダン裁判長は判決文を読み上げた。
 事実、カストロ医師には、召喚状が発行されておらず、令状は、468人の容疑者の名前および偽名を含むいい加減なものでしかなく、その名前のリストも「ドラ・マリア・ナティビダッド」と書かれているに過ぎなかった。令状には、それがカストロ医師のことを示しているかどうかの情報は記載されていない。

― NTF-ECLACの声明は全て嘘

 カラパタンは、地方共産党の武力紛争を終わらせるための全国タスクフォース(NTF-ECLAC)による「赤タグ付けされたコミュニティ医師に対する悪意ある根拠のない声明」が全て嘘であることを強調し、「私たちは、カストロ医師と彼女の家族に連帯の抱擁を送り、彼女が地域保健と人権活動家としての仕事を続けられるよう応援すると同時に、彼女の権利を侵害した者たちから正義と説明責任を果たすことを強く要求します」と述べた。
 カストロ医師の告訴棄却を求める申し立てを行っていた自由法曹会(FLAG)は、カストロ医師に対する訴訟の棄却を歓迎する一方で、カストロの逮捕と拉致監禁の方法について次のような懸念を表明した。
 「FLAGは、カストロ医師が1カ月以上不法に逮捕・勾留された後、家族のもとに戻ってきたことに大きな安堵感を覚えていますが、カストロ医師が弁護士の助けも家族の支援もなく自宅から拘束され、拉致監禁された方法に依然として深い懸念を抱いています」
 「司法省による予備捜査や裁判所による令状発行の際の慣例に光を当てる必要があります。また、赤タグ付けを通じて裁判所に影響を与えようとする政府関係者の超法規的な活動に注意を喚起する必要があります。」

〈Source〉
Caraga police says Doc Naty Castro detained in Bayugan since Friday night, MindaNews, February 19, 2022.
Court frees Doc Naty, calls PNP arrest ‘repugnant’, Inquirer, March 31, 2022.
Court releases community doctor Natividad Castro, Rappler, March 31, 2022.
‘Freed Naty Castro, the doctor who treated social ills’, Bulatlat, April 1, 2022.
Rights group hails community doctor Naty Castro’s release, Bulatlat, March 31, 2022.

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