ドゥテルテ大統領、プレスの自由を奪う「プレデター」に

【写真】プレスの自由を奪うプレデターたち

【6日=東京】国境なき記者団(RSF、本部・パリ)は、プレスの自由を厳しく取り締まる37人の国家リーダーを発表し、特設サイトを公開した。ドゥテルテ大統領も初めてブラックリスト入りした。国境なき記者団はこの37人をプレスの自由を奪う「プレデター(捕食者)」と呼び、警鐘を鳴らしている。前回のリストは2016年。

─ ジャーナリストに対して「全面戦争」

 国境なき記者団は、ドゥテルテ大統領が「ジャーナリストに対して『全面戦争』を仕掛ける武器を持っている」とした上で、その武器として、名誉毀損、脱税、資金規制法違反を理由にしたでっち上げの告訴、放送免許の取り消し、意を通じた者を使ったメディア企業の買収とジャーナリストの従属化、ネット荒らし軍団によるジャーナリストへの嫌がらせなどを挙げた。

 その結果、ドゥテルテ政権の「権威主義的な行き過ぎた行為」を取材し、報道しようとしたメディアは数なくなってしまったと指摘した。

 2018年の有力メディアのデイリーインクワイアラーの買収やABS-CBNの放送免許の取り消し、独立メディア・ラップラーCEOのマリア・レッサ氏を標的にした相次ぐ訴訟や告発が続いている。

─ 女性のプレデターも初登場、欧州からも初

 国境なき記者団が発表したリストには、女性が初めて入った。香港特別行政区のキャリー・ラム(林鄭月娥)長官とバングラデシュのシェイク・ハシナ首相だ。また、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子も初の”仲間入り”。ハンガリーのビクトル・オルバン首相も、欧州から初めてブラックリスト入りした。

 国境なき記者団のクリストフ・デロワール事務局長は、「大きな課題となっているのは、ブラックリスト入りしたプレデターたちが、抑圧的な行動に対する高い代償を払うことだ。彼らのやり方が新たな常識になってはならない」と述べた。

〈Source〉
Duterte Part of 2021 ‘Press Freedom Predators’ List, CNN Philippines, July 5, 2021.
Predators Gallery, Reporters Without Borders, July 2, 2021.

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