フィリピンからお二人のゲストをお迎えし、11月21日、参議院議員会館にて集会を開きました。NGO関係者、ジャーナリスト、一般市民、学生ら50人以上がご参加くださいました。5月のスピーキングツアーの時とは顔ぶれが異なり、少しずつ、この問題が認知され始めていると感じました。他方で、日本政府に対してODAや防衛装備品供与の再考を求めていくには、もっと多くの政治家や市民の方がたの応援が必要だと、思いを新たにしました。
以下に、講演会の内容を、簡単ですが、お知らせします。
― 被害者が参加、殺害や不当逮捕の実例を紹介
Stop the Attacks Campaign (SAC) 実行委員会からの趣旨説明のあと、当初、来日予定だったジョン・ミルトン・ロサンデ(ブッチ)さんに、スカイプを通してお話しして頂きました。
ブッチさんは、10月31日に自分を含めた57人がでっち上げの罪で逮捕され、ご自身は11日に保釈されたこと、ネグロス島は戒厳令に等しい異常な事態になっていること、フィリピンの人権状況の悪化のために集まってくれて嬉しく思うとお話しされました。
そのあと、ゲストのマリア・ソル・タウレさん(人権団体KARAPATAN弁護士)とアリエル・バリン・カシラオさん(農場労働者組合UMA副議長)から、フィリピンの広範な地域で組織的に、農民組織や人権活動家などが殺害されたり不当逮捕されたりしている現状が伝えられました。また、話を聞いてただ同情するのではなく、日本からフィリピン国軍への援助がこういった人権侵害に加担していることを受け止め、日本政府に働きかけて欲しい、との要望がありました。
― 国会議員も「安倍首相は人権侵害に一切触れず」
続いて、関心をもって取り組みに参加してくださっている国会議員や協力関係にあるNGOなどからの発言がありました。
井上哲士参議院議員からは、安倍首相とドゥテルテ大統領は何度も会見を重ねているが、人権侵害に関して一切触れていないことが指摘され、事実を直視し、言うべきことは言うよう、政府に迫っていきたいとの発言がありました。
山添拓参議院議員からは、国会には他国との友好議員連盟があるが、このような人権侵害を知らないままうわべだけの付き合いをしていてよいのかとの疑問が出されました。また、未だ、認知度が低い問題なので、広く知らせ、問題解決のために活動していかれるように考えて行きたいと発言されました。
福島みずほ参議院議員も、ゲストと面会され今後の取り組みについてアイデアをくださいました。集会にはご参加いただきましたが、時間の関係でご発言いただくことは叶いませんでした。
― NGOからも危機を訴える発言
国際弁護士協会(JALISA)の笹本潤弁護士は、ODAが適正確保の原則に反していること、防衛装備品移転が三原則に反していること、日本が加盟する武器貿易条約にも国際人権法などに反している国には武器を輸出しないと書いてあること、などの点を、政府に対して訴えていけると発言されました。
ヒューマンライツ・ナウ(HRN)のクリストファー・ケイド・モズリさんは、2014年ころから、タイ、中国、ミャンマーなどにおいて、専制的、強権的な政治へのシフトが続いていること、ヨーロッパや米国も沈黙しがちだが、地域のリーダーである日本が市民的自由、権利などを擁護する声をあげることが必要だと発言されました。
国際環境NGO FoE Japanの波多江秀枝さんからは、日本企業などの開発などに声を上げる人びとが殺害されていること、企業に対して働きかけをしてきたこと、ニッケルやバナナといった切り口から人権侵害の問題を知ってもらう活動をこれからも続けていくとのお話がありました。