公的資金の投入が多い地域で人権侵害が多発 カラパタンが調査

【13日=東京】フィリピン政府が地域の開発計画に投じる公的資金が多い地域ほど人権侵害の発生件数が上昇している──。公的資金と人権侵害の発生件数のこんな関連性が、フィリピンの人権監視NGOカラパタンの調査で明らかになった。カラパタンのクリスティーナ・パラバイ事務局長は「政府が過酷な人権侵害を放置するのであれば、その開発計画は何の解決にもならない」と批判した。

 カラパタンによると、公的資金はバランガイ(行政の最小単位)に対する開発計画(BDP)を名目にしたもので、「地域の共産党の武装闘争を終わらせるための国家タスクフォース」(NTF-ELCAC)の開発計画(BDP)予算から拠出されているという。

 内務・地方政府省(DILG)が7日に発表したプレスリリースによると、開発計画は全国の812バランガイを対象に、2276のプロジェクトに充てられるという。その大半がインフラ整備事業で、農場と市場を結ぶ926の道路の整備、516の飲料水と衛生プロジェクト、156の保健所と135の学校の建物など。開発計画(BDP)の公的資金の99%にあたる計162億4000万ペソ(約355億1200万円、1ペソ=2.19 円)が、先月30日現在で時点で地方政府側に送られたという。

─ 409件の超法規的殺人の半数が集中、政治犯も

 カラパタンは、その金額を割り当てられた地域のうち、もっとも額が大きい地域は、第7地域(ネグロス島・中部ビサヤ地方)、第10地域(ミンダナオ島北部・北ミンダナオ地方)、第11地域(ミンダナオ島・ダバオ市域)、第12地域(ミンダナオ島中部・ソクサージェン地方)、第13地域(ミンダナオ島北東部・カラガ地方) の5地域だという。カラパタンは「ドゥテルテ大統領就任から2021年6月までに発生した409件の超法規的殺人のうち206件がこの5地域で発生している。また、ドゥテルテ政権下で逮捕された政治犯487人のうち221人もこの5地域で逮捕されている」としている。

〈Source〉
HRVs rise in regions with most dev’t fund from DILG, NTF-ELCAC, Karapatan, July 10, 2021.
Press Releases: DILG: P16.24B or 99% of Barangay Development Fund released to LGUs, Philippine Information Agency, July 7, 2021.

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