労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2023年5月31日(水)
2023年5月31日午前4時20分、東ミンドロ州カラパン市で、ラジオコメンテーターのクレセンシャノ・アルドヴィノ・ブンドキン(50歳)がバイクに二人乗りした襲撃者によって射殺された。
フィリピン国家警察によると、犯人らはプレート番号がDD 22153のホンダXRM 125に乗り、バイクに乗っていた一人が商店の前にいたブンドキンに歩いて近づき射殺した。
加害者の一人は、ブンドキンの息子に車で追跡された折に事故に遭い死亡。
ブンドキンは、マルコス・ジュニア政権下で殺害された3人目のジャーナリスト。1986年以来殺害されたジャーナリストは、これで、198人となった。
Broadcaster killed in Mindoro, 3rd under Marcos admin, Rappler, May 31m 2023.
Abalos orders PNP : Solve radioman’s murder quickly, The Philippine Star, June 3, 2023.
◆2023年5月31日(水)
南ラナオ州マロゴン町から避難した4000人以上の避難者が、国軍によって安全が保証されたにもかかわらず帰還をためらっていると報じられた。
住民らは、2023年5月27日、ISISに影響を受けたダウラー・イスラミヤとマウテ・グループの残党が町を破壊する可能性があるとの情報を無線をとおして知り、パニックになって避難したものである。
Lanao del Sur town residents still fear terror attacks days after fleeing, Rappler, May 31, 2023.
◆2023年6 月1日(木)
農民組織9月21日運動によると、西ネグロス州ヒママイラン市ブエナヴィスタ村で、農民らが国軍第94歩兵大隊から書簡を受け取った。そこには、家族全員で面会に来るよう、面会に応じるならば携帯番号「******7816」に連絡するようにと書かれていた。
面会の目的や時刻、場所に関する記載はなかった。
9月21日運動は、同部隊は住民に恐怖を与えていると糾弾した。同部隊は、同地域の中心にあるフィリピン・キリスト合同教会の教会を2023年5月24日から26日まで占拠し、また、ヒママイラン市に隣接するカバンカラン市において、具体的な告発がないにもかかわらず、農民らに執拗に「自首」を迫っているからである。
LOOK: Farmers in Himamaylan City Disturbed by 94th IB’s Unjustified Summons Following Receipt of Letter, Facebook page of Paghimtad-Negros Island Alternative Media, June 1, 2023.
◆2023年6月1日(木)
農民の権利擁護団体である農地改革擁護者全国ネットワーク‐青年(NNARA-Youth)が、同ネットワークのカリーナ・デラ・セルナ副事務局長とその両親の保釈請求が認められたことを発表した。
カリーナ一家に課せられた保釈金は総額120万ペソ(約300万円)。現在、NNARA-Youthなどが寄付を募っている。
【補足】カリーナと父アルベルトは、2019年10月31日に、西ネグロス州における一斉家宅捜索の際に逮捕された。この時、55人が一斉に逮捕され、そのうち11人が起訴されたが、2022年初頭までに11人中9人への起訴は棄却された。しかし、カリーナとアルベルトへの人身売買容疑に関する起訴は棄却されず、仲間が次々に釈放される中、2人はそれぞれ女性用、男性用の拘置所に取り残された。人身売買容疑は、保釈が不可能な罪状とされている。
母マルピは、2022年3月、同様に人身売買容疑による指名手配に応じる形で出頭し、現在カリーナと同じ拘置所に収監されている。マルピは、隠遁生活や家族に会えない苦痛に耐えかね、カリーナに会いたい一心で出頭したのである。(【コラム】家族みんなで政治犯になったデラ・セルナ家, Stop the Attacks Campaign, 2022年9月11日/【コラム】一家で政治囚となったカリーナ親子と再会、バコロド拘置所にて <その1・2> など)
Facebook page of NNARA-Youth, June 1, 2023.
◆2023年6月2日(金)
フィリピン人権国際連合(ICHRP)が、5月16日にカガヤン州のゴンザガで国軍によって拉致されたとされる2人の活動家の所在を明らかにするよう求めるとともに、マルコス政権が前政権による「大胆な人権侵害」を続けていると述べた。
マルコス政権下でこれまでに報告された強制失踪は11件。
人権擁護団体カラパタンは、グロリア・マカパガル・アロヨ政権下の9年間に206人、ベニグノ・アキノ3世政権下で29人、ドゥテルテ政権下で20人の強制失踪者を記録している。
Groups accuse Marcos Jr. admin of having worse desaperacidos record than Duterte, KODAO PRODUCTIONS, June 2, 2023.
◆2023年6月4日(日)
西ネグロス州地域拘置所に収容されている政治囚が、2013年5月30日、国家人権委員会に対して、行方不明になっている娘の調査を要請した。その娘は、同年4月19日に、二人のバイクタクシー運転手とともに拉致され行方不明になっている。
Negros Occ. political detainee seeks CHR help on daughter’s disappearance, INQUIRE. NET, June 4, 2023.