【22日=東京】ドゥテルテ政権への税金を使った武器輸出や安全保障に関わる支援の停止を内容とするフィリピン人権法案が米下院に提案された。ドゥテルテ政権が国軍や国家警察の体制を改革し、人権を守る一定の条件が満たされることが支援再開の条件になっている。
現地の報道やプレスリリースによると、民主党のスーザン・ワイルド下院議員(ペンシルバニア州選出)が15日に提案した。ワイルド議員のほか、11人が共同提案者になった。
─ 法案可決で2208億円の武器輸出が停止に
この法案が可決されれば、フィリピン政府へのミサイルや攻撃用ヘリなど総額20億ドル(約2208億円)の武器の輸出が停止されるという。
ワイルド議員は同日に発表したプレスリリースで「フィリピン人権法の再提案を発表できることを誇りに思う。この法案は、政府に異を唱える人たちや労働組合員、聖職者らに対する大規模な人権侵害に対処するためのものだ」と述べた。また、共同提案者のハンク・ジョンソン下院議員は、「議会が黙って見過ごすことはできない。ドゥテルテ政権は、労働組合、ジャーナリスト、労働者、薬物の乱用の問題に苦しむ人々、そして、政治的敵対者を標的にしており、フィリピンに対する米国の資金援助がそれに使われ続けている。私たちは人権侵害を行う独裁者を支持しないことを示す必要がある」としている。
同法案は昨年に続く提案となった。政権が変わり、与党議員からの提案となったため、成立の可能性は高くなったと言えるが、バイデン政権は「自由で開かれたインド太平洋」を標榜しており、その構想にフィリピンの協力は必要だ。法案が成立すれば、フィリピンの中国への接近を誘発することにもなり、法案の成立は見通せない状況だ。
〈Source〉
Philippine human rights bill reintroduced in US Congress, ABS-CBN, June 15, 2021.
Press Release: Rep. Wild Reintroduces Philippines Human Rights Act, Congress Woman Susan Wild, June 15, 2021.