※本稿は、2019年2月に、日本国際法律家協会(JALISA)の機関誌『INTER JURIST』No. 198に掲載されたものです。
超法規的殺害(EJK)は、十分な裁判や法的手続きなしに、政府やその代理人の関与、共犯、容認あるいは黙従をもってなされる殺人のことを示します。そして、その主犯と想定される人物が捜査の対象にすらならない不処罰の文化は、世界中あちこちに広がっています。
不処罰の文化は外国投資の促進を困難にすると言われていますが、日本からフィリピンへの直接投資は増加しており、さらに、 開発への反対運動に対するEJKをも含む弾圧が、開発をより容易にしているようにさえ見えます。
本稿は、フィリピンにおいて急増するEJKの現状と、現地の人びとが被る暴力と開発、ひいては、私たち日本人との関係性について考察しています。