【21日=東京】ドゥテルテ大統領は「違法薬物撲滅戦争(ドラッグ・ウォー)」に絡む国際刑事裁判所(ICC)への捜査協力を拒否する方針を明らかにした。フィリピンのハリー・ロケ大統領報道官が15日の会見で「捜査には協力しない。なぜなら、フィリピンはもはや国際刑事裁判所の加盟国ではないからだ」と述べた。
─ ロケ大統領報道官「外国人を必要としない」
現地の報道によると、ロケ大統領報道官は「フィリピンでは法制度が機能しているので、ドラッグ・ウォーでの殺害に関するために外国人を必要とはしていない」と述べた。ロケ大統領報道官は国際刑事裁判所の捜査は「法的に誤っており、政治的な動機に基づいている」と批判した。
フィリピン国家警察のギジェルモ・エレアザール長官は20日のABS-CBNとのインタビューの中で、「国家警察は指揮系統を持つ組織だ。(捜査協力の命令があれが)それを遵守する」と述べた。また、フィリピン麻薬取締局も国際刑事裁判所の捜査に参画しないという大統領の命令に従う、としているという。
─ 2009年に脱退
フィリピン政府は2019年、国際刑事裁判所がドラッグ・ウォーをめぐる予備的調査を開始したことを受けて国際刑事裁判所から正式に脱退した。
国際刑事裁判所のファトゥ・ベンスダ主任検察官は14日に、ドラッグ・ウォーにおける人道に対する罪を徹底的に捜査することを求める声明を発表し、ドゥテルテ大統領がダバオ市長や副市長を務めた2011年から2016年の期間も捜査対象期間にするよう求めた。ベンスダ主任検察官は15日付で退任。
〈Source〉
‘Justice never sleeps’: Families of Philippine drug war victims welcome ICC probe, Reuters, June 15, 2021.
PNP on ICC: We follow the ‘chain of command,’ Manila Standard, June 21, 2021.