【20日=東京】来年5月までの長丁場となる大統領選挙序盤戦の世論調査において、候補者中トップのフェルディナンド・ボンボン・マルコス(ボンボンは通称) vs 他4人の候補者といった対立軸が、メディアを通して浮き彫りにされている。
― 5人の有力候補
選挙委員会の発表によれば、97名が2022年大統領選挙に大統領として出馬を申請した。現時点で有力候補と認識されているのは、9月の世論調査順で、フェルディナンド・ボンボン・マルコス元上院議員(世論調査2位15%)、イスコ・モレノ マニラ市長(同調査3位13%)、マニー・パッキャオ上院議員(同調査4位12%)、レニー・ロブレド副大統領(6位8%)、パンフィロ・ラクソン上院議員(7位6%)の5人である(以下、肩書きは候補を用いる)。
― 私はマルコスを落選させるために出馬した: ロブレド
「マルコスは私にとって交渉余地のない問題です。 (中略) 私は多くの違いを乗り越えた団結に多大な努力を割いてきましたが、それにも限界があります。」
10月8日の記者会見において、ロブレド候補はマルコス元大統領への寛容ともとれる認識を示すモレノ候補についてこう語った。ボンボン・マルコス候補を落選させるために大統領選挙に出馬したと表明するロブレド候補は、党派を越えた対ボンボン・マルコス包囲網の構築を呼びかけ続けている。彼女の言説は、暗に、ロブレド候補が反ボンボン・マルコスのために、出馬を取り下げて他候補の支持に回る可能性を示している。
他方、モレノ陣営のエドガー・エリス民主行動党メトロ・マニラ代表は、13日の記者会見にて、ロブレド候補とモレノ候補の対立がボンボン・マルコス候補を利することを説明し、共闘の必要性を強調した。
― 何も知らないなんて言うことはできない: パッキャオ
パッキャオ候補は、15日のテレビインタビューにおいて、未だ国民に返却されていないとされている元マルコス大統領の隠し資産の存在について言及し、「私たちの政府から盗んだものは何であれ返却しなければならない」と語った。さらに、いくつかのボンボン・マルコスの経歴について言及して、ボンボン・マルコス候補が父親の行った行為を知らないはずはないと説明した。
― 法の支配を勝ち取ろう: ラクソン
14日の記者会見においてマルコス元大統領の不正蓄財について質問されたラクソン候補は、「法の支配が優先される」ことを強調し、その問題を法廷に委ねると語った。
― 前へ進みましょう: モレノ
モレノ候補は、過去の出来事への復讐ではなく前に進む必要性を強調する。マルコス独裁政権後の30年にもおよぶ闘争でフィリピンが豊かになっていない現実について言及し、過去の問題を現在の大統領選挙の争点として挙げることに異議を投げかけている。
「私たちは過去を決して忘れません。私は私たちのために前に進みたいのです。私たちは現在に生きており、より良い未来のために協力すべきなのです。」
― 最新予測はボンボン・マルコス圧勝?
マニラ・タイムスによれば、ラップラーのフェースブックで実施されていた投票予測調査において、10月7〜9日の3日間の調査期間の2日目の時点でボンボン・マルコス候補54%、ロブレド候補42%を記録したが、その後、その調査結果がウェブサイトから削除されている。ラップラーは、13日に同フェースブックで、目的にそぐわないものであったと削除の理由を説明し謝罪した。
さらに、マニラ・ブリテン紙が同様のフェースブック投票を10月15〜17日に行ったところ、ボンボン・マルコス候補72%、ロブレド候補24%、モレノ候補2%で、その他候補は1%以下であった。なお、フェースブック投票への信頼性についての議論も現在進行形で進んでいる。
〈Source〉
‘Let rule of law prevail,’ Lacson says on Marcos ill-gotten wealth, ABS-CBN News, October 14 2021.
Pacquiao to Bongbong: He can’t say he did not know, ABS-CBN News, October 15, 2021.
Rappler’s Facebook poll shows Marcos winning, Bulletin’s by a landslide, Manila Times, October 18, 2021.
‘Robredo, Isko should join forces to defeat Marcos’, PhilStar, October 13, 2021.
We are sorry and thank you for helping us do better, Rappler Facebook, October 13, 2021.