【1日=東京】政治に振り回されながら、爆発的に感染が拡大した新型コロナウィルスへの対応において英雄的な活躍をしたフィリピンの看護師たち。議会に直接声を届けるために、いま、新たな政党を作って来年の選挙に臨む。
― 看護師の声を届けるために、看護師を議員に立候補させましょう
新たに組織された看護師連盟党は、11月22日、イントラムロスにある選挙委員会(Comelec)本部前で大規模集会を実施した。それ以来、同党はその場所で、議会に看護師の声を届けるために、看護師によるパーティリスト(=マイノリティのための政党)の結成を認めるようComelecに呼びかけ続けている。22日の集会でマリストラ・アベノジャール代表は、次のように述べた。
看護師は、患者が救急治療室や保健所などを訪れた際に、最初に出会う人です。看護師はまた、患者が病院から愛する人のもとへ帰る前に話しかける最後の人であり、または、息を引き取る時に手を握る人でもあります。看護師は、爆発的感染拡大の有無にかかわらず、24時間年中無休で患者のためにそこにいます。看護師は、地域社会で医療に関する教育を提供し、保健医療プログラムを実施する人でもあります。
したがって、社会的、経済的、身体的、精神的な状態を向上させる政策決定プロセスにおいて、私たちの声が反映されなければなりません。看護師を含む医療従事者の充実は、病院や診療所、地域で患う人びとにより良いサービスを提供することにつながります。そして医療従事者は、政府が、医療従事者やフィリピンの人びとにとって思いやりのある、人を育むような医療システムの実現を支援することができます。
― アジェンダ
看護師連盟党は次のアジェンダを選挙公約として掲げている。
・医療従事者の給与と利益の向上
・質が高く安全な医薬品を含む包括的な医療サービスの無料提供
・健康が真に優先事項であることの確認
― 拒否された参加
パーティリスト制度とは、既存の政党では反映されない社会的弱者・層が政策決定過程に参加できる仕組みとして1998年に導入された選挙制度である。下院議席の20%が、この制度を通して選ばれる。
2022年選挙におけるパーティリストの選考結果は、10月20日にComelecより発表された。Comelecの発表によれば、申請された270組織のうち、118の既存パーティリストと53の新規パーティリストが政党として承認された。看護師連盟党の名は、承認されたリストに記載されていない。
― 見当違いの判断根拠
10月4日にComelecから正式な申請却下を受けた看護師連盟党は、10月9日に再審議を申し立てた。アベノジャール代表によると、却下された理由は、「パーティリストのメンバー、職員、候補者リストメンバーの大多数が看護師によって占められていなければならない」との要件を満たしていないとComelecに判断されたことによる。しかし、候補者リストのメンバー全員が正式に登録された看護師であることは明確であり、その他の条件を満たしていることも提出した資料から明白であるはずとアベノジャール代表は語る。
11月29日に発表されたComelecの資料によると、申請を拒否された97のパーティリストが、再審申し立てにより保留状態に置かれている。パーティリスト登録の最終決定は12月半ばの予定である。 11月29日に発表されたComelecの資料によると、申請を拒否された97のパーティリストが、再審申し立てにより保留状態に置かれている。パーティリスト登録の最終決定は12月半ばの予定である。
〈Source〉
Nurses frustrated with Comelec requirements for party-list accreditation: group, ABS-CBN, November 25, 2021.
Nurses’ group appeals to Comelec: Allow us to join 2022 party-list election, Rappler, November 22, 2021.
Nurses to Comelec: ‘Let nurses run for Congress‘, Manila Bulletin, November 22, 2021.
Over 90 party-list groups appealing denied registration with Comelec, Inquirer, November 29, 2021.
We need nurses in Congress, Manila Standard, November 30, 2021.