労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2023年2月6日(月)
フィリピン大学ディリマン校メラニア・フローレス教授(フィリピン大学教職員組合元会長)が、社会福祉開発省になりすました覆面警察官によって逮捕された。逮捕状は、2022年9月に発行されたもの。フローレス教授は、逮捕前に、いかなる苦情、召喚状、通知も受け取っていないが、逮捕状によると社会保障法違反で起訴されたとのことである。
教員団体ACTは、大学構内での逮捕は1992年に大学と内務自治省との間で結ばれた協定に違反すると指摘。
Colleagues raise alarm over arrest of UP professor by undercover cops, Philstar, February 6, 2023.
UP professor, ex-union leader arrested over alleged violation of SSS remittance, Rappler, February 6, 2023.
Groups slam UP prof’s arrest, philstar, February 7, 2023.
◆2023年2月6日(月)
停職中の矯正局長ジェラルド・バンタグが、さらなる法的措置に直面している。バンタグは、ラジオ放送局員パーシー・ラピ殺害事件の容疑者である。
Bantag — accused of Lapid murder and inmate torture — now also faces plunder, graft raps, Philstar, February 6, 2023.
◆2023年2月6日(月)
アルタイ・フィリピン・マイニング社(APMC)は、ロンブロン州シブヤン島での「探査・試験活動」を停止すると発表した。
住民らは警察官らに阻止されながらも、腕を組んでバリケードを作り、身を挺して現場へ向かう同社のトラックを止めようとしてきた。
環境団体によれば、APMCはすでに4つ法律に違反している。水道法違反、海岸線リース契約と海難救助ゾーン建設活動、適切な環境法令順守証明書のない土手道建設、許可なしの木の伐採である。
リサ・ホンティベロス上院議員は、大規模な採掘がすでに島の環境を破壊してきたと指摘し、島の採掘活動に関する立法調査を実施するよう上院に要請する決議案を提出した。
After tense week, mining firm says exploration activities on Sibuyan Island on hold, philstar, February 6, 2023.
Facebook page of Altermidya, February 1, 2023.
◆2023年2月6日(月)
超法規的殺害に関する国連特別報告者モリス・ティダル=ビンツ医師来比に先立ち、ジーザス・クリスピン・レムリア司法長官が、同医師は国連特別報告者としての立場ではなく、法医学の専門家として医師の何人かを訓練するために来ると述べた。
UN rapporteur on EJKs arriving today, The Philippine Star, February 6, 2023.
◆2023年2月6日(月)
ネグロス島のカバンカラン市ベンジー・ミランダ市長が258家族、718人が屋根付きバスケットコートに避難していると述べた。陸軍第94歩兵大隊によれば、村の遠隔地に武装集団がいるとの通報を受けて出動した。
258 families displaced in Negros Occidental clash, Philstar, February 6, 2023.
◆2023年2月7日(火)
コンラド・エストレリア3世農地改革長官は、タルラック州コンセプション町にあるサトウキビ大農場ティナンの200人以上農場労働者に対して、農地改革プログラムにおいて農地を受け取る受益者であることを証明する土地裁定証明書(CLOA)を発行すると約束した。
受益者らは、2022年6月に同農場内で逮捕された農民ら。農民らは、本来なら自分たちに譲渡されるはずの土地に自家消費用の野菜を植える準備をしていた時に、逮捕された。
逮捕された農民らは、1995年の時点ですでに、今回CLOAの発行が約束された土地の合法的な受益者であると農地改革省によって認められている。1995年以降、数回にわたり農地改革省はCLOAの発行を約束したが、地主らがこの決定に従わず、農地改革省のこの決定はこれまで何度も反故にされてきた。
After 3 decades: DAR vows installation of Hacienda Tinang farmers in 45 days, Rappler, February 7, 2023.
【関連記事】
ティナン83の農民ら、モンテファルコ検事補に対する行政不服を申し立て, SAC, 2022 年7月12日.
CHR probing ‘Tinang 91’ arrest, ABS-CBN News, June 14, 2022.
◆2023年2月9日(木)
フィリピン政府は、国際刑事裁判所の1月26日の決定に対する控訴状を提出した。
同政府は独自に調査しているとして、国際刑事裁判所による調査を拒否してきた。しかし、1月26日、国際刑事裁判所予審第一室はカリム・カーン検事による予備捜査の再開を承認した。
Government appeals ICC ruling on drug probe, philstar, February 9, 2023.
◆2023年2月11日(土)
ラファエル・ラゴス矯正局元臨時局長・国家捜査局(NBI)元幹部(以下、ラゴス)の証言撤回により、勾留中のレイラ・デ・リマ元上院議員の陣営は、彼女の違法薬物容疑について保釈を求める嘆願書を提出することになった。
「レイラ・デ・リマ上院議員が違法薬物の取引に関与している」と証言したラゴスは、ケルウィン・エスピノーサに続き、その証言を撤回した。
デ・リマ元上院議員は、同議員が司法長官だった2012年にドラッグシンジケートから口止め料を受け取ったという容疑のために、2016年2月に逮捕され、それ以来収監されている。同議員は容疑を否認しており、また、国内外の人権団体や弁護士団体などは容疑を口封じのためのでっち上げであるとして非難してきた。
De Lima to file bail plea anew, philstar, February 11, 2023.
【関連記事】
ケルウィン・エスピノーサに続き、ラファエル・ラゴスも証言を撤回, SAC, 2022年5月9日.
◆2023年2月12日(日)
フィリピンの人権状況を憂慮する在日フィリピン人同盟が、東京のベルサール東京日本橋前で、サイレント・プロテストを実行した。ベルサール内の会場では、来日中のマルコス大統領とフィリピン大使館から招待された在日フィリピン人らによる交流会が開催されていた。
プロテストで参加者らは、マルコス大統領に対して2030億ペソにも上ると言われる相続税の支払いを求め、またフィリピン政府に対して、国際刑事裁判所による調査の受け入れや赤タグ付けの中止などを訴えた。
Press Release:Migrante International, Facebook page of Migrante International, February 12, 2023.