深刻な食糧難、フィリピンで430万人 5人に2人が不安視 

【写真】サトウキビの収穫をする人たち。毎年5月から9月までの農閑期は「死の季節」と呼ばれ、現金収入が著しく減少する。現在、その「死の季節」の真っ只中にある。昨年から新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、経済が悪化し、労働者たちの生活を直撃している=2020年2月5日、ネグロス島西ネグロス州ムルシア、木村英昭撮影

【15日=東京】国連食糧農業機関(FAO)が12日に発表した『2021年世界食料・栄養白書』によると、フィリピンで2018年から2020年の間に深刻な食糧難に陥った人たちは人口の約4%に当たる430万人いたことが明らかになった。深刻度で1段階下の「中程度または深刻な不安」を抱える人は4610万人で、5人に2人が食糧への不安を抱えているという。

 報告書では、前回調査の2012年からは減少したものの、発育不全が認められる5歳以下の子供たちは2020年現在で300万人と推定された。また、15歳から49歳で貧血の影響を受けた人は、2012年の420万人から2019年には250万人に減少したという。国連食糧農業機関はこうした減少傾向については「新型コロナウイルスのパンデミックにもかかわらず、飢餓や栄養不良への対応という点で最善の対応を生み出した」とフィリピン政府の対応を評価した。

─ 新型コロナ禍で食糧難が加速

 しかし、実際には、新型コロナの感染拡大によって、市民に食糧が回らない状況は深刻化していると言える。2020年4月には、マニラ首都圏で都市貧困層が食糧不足に抗議する事態が発生した。今年に入ると、市民が食糧を分かち合う「地域の食料庫」運動は全国に拡大している。山間部ではNGOが食糧を分配する活動も続けられている。こうした市民やNPOの動きに対して、政府は政府批判につながらいか神経を尖らせており、政府高官が活動の中心メンバーに対して「共産主義者」のレッテル貼りをする事態も出ている。食糧分配の活動をした人の中には何者かによって殺害されたケースも出ている。

【表】食糧難の程度を示す数値。赤色がフィリピン、緑色が日本 (出典: The State of Food Security and Nutrition in the World 2021, pp.147)

〈Source〉
FAO, IFAD, UNICEF, WFP and WHO, 2021, The State of Food Security and Nutrition in the World 2021.
Food-insecure Pinoys rise by 4 million in 2020–FAO, BusinessMirror, July 13, 2021.
クラリッサ・シングソン, 2020, 「ネグロスからの手紙──虐殺と弾圧の島で 第 1回 友の亡骸は雨に打たれていた」『世界』岩波書店, 939:192-197.
クラリッサ・シングソン, 2021, 「ネグロスからの手紙──虐殺と弾圧の島で 第2回 コロナ禍の飢餓、そして密告」『世界』岩波書店, 940:264-269.
二宮書店編集部, 2021, 『データブック オブ・ザ・ワールド 2021年版──世界各国要覧と最新統計』二宮書店.

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