海外フィリピン人労働者への過剰請求、「政府は対処せず」 英国人権団体が声明

【写真】フィリピンへ帰国する海外フィリピン人労働者に話をするバーレーンのアルフォンソ・A・ヴェル在フィリピン大使=2018年4月11日、バーレーン国際空港/via Wikimedia, Public domain

【20日=東京】英国の人権監視NGOフェアスクエアは14日に声明を発表し、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)を仲介する人材斡旋業者が過剰な斡旋料を徴取しているにも関わらず、フィリピン政府が「ほとんど対処していない」として改善を求める声明を発表した。

 フェアスクエアは英国に拠点を置く非営利の人権団体で、移民労働者の権利の問題に中心に取り組んでいる。今回の報告書は、台湾で働くフィリピン人労働者が台湾でどのように募集されているかを調査した。報告書はの4月にフィリピン当局に送付しているという。

─「抜け道を利用」

 報告書によると、フィリピンの人材斡旋業者は、海外での就業を希望するフィリピン人に対して、研修や医療費、宿泊費などの名目で過剰な金額の請求しているという。フェアスクエアは「斡旋業者は『抜け道』を利用している」と指摘する。義務的なトレーニングや医療費、宿泊費などをさまざまな名目で過剰な金額を請求するほか、高額な融資金利を請求する金融機関と連携して、斡旋費用を労働者に転嫁しているという。特に家事労働については、斡旋料を請求すること自体が法律で禁止されているにもかかわらず、斡旋業者がこうした「抜け道」を使うことによって、家事労働者も多額な費用が背負わされているという。

 フェアスクエアは、こうした事態に対して、「フィリピン当局はほとんど対処していない」と指摘している。フェアスクエアの共同代表のニコラス・マクギーハン氏は「海外のフィリピン人労働者は依然として不当な採用や海外での深刻な虐待にさらされている。より倫理的な人材紹介会社がこの分野に参入すべきだ」と話している。

─ サウジアラビアが最多

 フィリピン統計局の2020年発表の調査によると、2019年4月から同年9月に約220万人のフィリピン人が海外に滞在している。そのほとんどが労働者。女性は全体56%、男性は44%。「30〜34歳」が22.6%を占め、「25〜29歳」は20.7%。サウジアラビアが最も多い22.4%で、次いで、アラブ首長国連邦(13.2%)、香港(7.5%)、台湾(6.7%)。

【図】海外在住のフィリピン人の状況

〈Source〉
Human rights group recommends curbs on OFW recruitment fees, BusinessWorld, July 15, 2021. 
The Philippines should Do More to Incentive Hair and Ethical Recruitment, FairSquare, July 14, 2021.
ドゥテルテ大統領、海外在住者のための新部署設立法案に賛意表明, SAC, 2021年6月1日.

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