【東京=20日】12月16日、マニラ地方裁判所第32支部は、1980年代の粛清で仲間を殺害しレイテ島のイノパカンに埋めた罪に問われていた元下院議員のサトゥル・オカンポやフィリピン民族民主戦線(NDF)の平和コンサルタント ラファエル・ベイロシスを含む15人に対し、無罪判決を下した。
― 異議申し立て人以外も無罪に
判決は、30人以上の被告人のうちオカンポ元下院議員や平和コンサルタント ベイロシスら8人が提出した異議申し立てに対してなされたものだったが、裁判所は、それ以外の7人への訴追も棄却した。また、15人のうち、10年間勾留されていた農民団体リーダー3人が釈放された。
― 容疑は1985年に発生したとされる15人の殺害
被告15人は、2006年8月にレイテ州イノパカンのサパンダコ山で発見された集団の遺骨に関して容疑をかけられていた。検察は、1985年に共産党軍事部門新人民軍(NPA)が政府への情報提供者であると疑った15人を殺害し埋めたのだと主張した。
サパンダコ山で発見された一部の遺骨は、数年前に別の場所で発見された集団の遺骨の中にすでに報告されており、そもそも事実関係に矛盾があった。だが、30人以上がこの遺骨に関わる事件の容疑者とされた。
― 検察が提示した証拠は矛盾と欠陥だらけ
裁判所は、サパンダコ山から発見された遺骨がNPAに殺害されたとされる15人の遺骨であると証明する法医学的、実質的証拠はないと、指摘した。また、裁判所は、2015年にはDNA検査が可能であったにもかかわらず、検察がその調査をしなかったことに対して疑問を呈し、さらに、検察が提示した被害者家族らによる証言には、矛盾と欠陥が多く、信頼に足るものではないと述べた。
裁判所は、被告人らを有罪とする証拠を検察は提示できなかったと判断した。
〈Source〉
Big win for activists: Manila court frees 3 peasant leaders in mass graves case, Rappler, December 18, 2021.
Headlines15 acquitted in Inopacan ‘traveling skeletons’ case, INQUIRER. NET, December 19, 2021.
Inopacan’s alleged mass grave a recycled, preposterous story – Karapatan, KARAPATAN, September 6, 2019.
Manila court junks murder raps vs 15 Red leaders, philstar, December 19, 2021.