労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2025年10月29日(水)
人権擁護団体カラパタンは、西ネグロス州地域刑務所における収監者への人権侵害に関する正式な苦情を国家人権委員会と刑務管理局に申し立てた。同刑務所には、政治囚らも収監されている。
2025年8月24日から28日に、収監者らは、同刑務所内で沈黙の抗議と鍋などを叩いて騒音を出す抗議活動を実施した。それを受け、男子寮責任者であるクリシレル・P・アウェ弁護士は、一度、配置換えされた。だが、すでに戻っており、事態は悪化している。
苦情によれば、10月26日、政治囚のロレンツォ・ペロリノが、人権活動家と弁護士の面会を受けたあと、何の説明もなく、適正な手続きもなく、即座に職員に連行された。
Rights group urges probe into grave HRVs vs political prisoners, PDLs under Negros Occidental jail warden, KARAPATAN, October 29, 2025.
◆2025年10月29日(水)
2025年9月21日に開催された洪水制御事業における汚職に対する抗議行動に参加したあと、ベリンダ・「べべ」・アリエラ(59歳)とその家族が、監視とハラスメントの標的にされている。
ベリンダは、都市貧困層のリーダーで、ガブリエラ・パーティリスト党の事務次長でもある。
Women’s leader tailed, harassed after flood control protest in Cebu, BULATLAT, October 29, 2025.
◆2025年11月1日(土)
パッシグ市検察局は、国家警察による環境保護活動家ジョニラ・カストロに対する違法集会容疑を、証拠不十分を理由に却下した。 カストロは、9月4日に行われたディスカヤ家所有のセント・ジェラルド建設社前での抗議活動に関連し、戒厳令時代のバタス・パンバンサ880号(公衆集会法)違反の容疑で起訴されていた。
Prosecutor junks illegal assembly case vs anti-corruption protester, BULATLAT, November 1, 2025.
◆2025年11月6日(木)
カビテ州ダスマリニャス市ルパン・ラモスで、土地紛争に直面する3人の農民が8月11日に国軍兵士と対立した後、刑事告発を受けた。
ルパン・ラモスの農民らは、代々耕作してきた372ヘクタールの土地の所有権を求めて長年闘争を続けてきた。土地収奪、弾圧、赤タグ付け、軍事化に直面しながらも、土地の権利を守るためKASAMA-LRという農民団体を組織し、協同耕作活動をしてきた。
Three farmers face charges in militarized Lupang Ramos, BULATLAT, November 6, 2025.
History of Lupang Ramos, LIMLIM NG ANI, August 14, 2025.
◆2025年11月6日(木)
控訴裁判所は、10月29日の判決において、赤タグ付けされたジャーナリストのフレンチー・メイ・クンピオと教会の奉仕者マリエル・ドメキルの控訴を認容し、両者に対して提起された民事没収申立てを認めたマニラ地方裁判所第18支部の判決を破棄した。
CA declares no legal basis for civil forfeiture case vs red-tagged journalist, lay worker, BULATLAT, November 6, 2025.
◆2025年11月7日(金)
北サマール州ラオアン地方裁判所は、草の根ジャーナリストのフレンチー・メイ・クンピオに対する殺人容疑の却下申し立てを認めたが、人権活動家アレクサンダー・アビングナに対する同様の申し立ては却下した。
11月6日付の判決において、地域裁判所第21支部は、「告訴状に記載された人物と逮捕された人物の身元に関する著しい不一致と相違」を指摘した。
2020年2月7日のクンピオ逮捕以降、技術的には、計7件の訴追(刑事事件6件、民事事件1件)が提起された。
銃器及び爆発物の不法所持2件、テロ資金供与、殺人2件、殺人未遂が含まれていた。また、クンピオと共犯とされた教会奉仕者マリエル・ドメキルが借りていた家から警察によって押収された現金50万ペソ超を没収することを目的とした民事没収訴訟も提起された。
Court grants motion to nullify murder raps vs redtagged journo, BULATLAT, November 7, 2025.
Charges faced by detained Filipino journalist dropped to 2; Is her release near?, BULATLAT, November 18, 2025.
◆2025年11月10日(月)
11月3日、西ネグロス州カウアヤン町で、農民のオーガナイザーであるジョアン・エスクアドゥロ(36歳)が自宅に押し入った身元不明の人物に胸を2回撃たれて死亡した。
ネグロス島では、2018年11月の国家治安部隊の展開を拡大する覚書命令第32号の発令と同年12月のNTF-ELCAC設置を明示した大統領令第70号の制定以来、軍事作戦が強化されている。
ドゥテルテ前大統領退任後もこれらの法律は機能しており、軍事作戦は続いている。
Peasant woman killed in Negros Occidental militarized area, BULATLAT, November 10, 2025.
Rights group scores violent, unjust reprisals vs Negros detainees, KARAPATAN, November 12, 2025.
◆2025年11月11日(火)
11月4日、カガヤン・デ・オロ州で、カバタアンパーティリスト政党メンバーのネイル・コリンス・ヴェレスとサイラス・アドリアン・ロムが監視された。
Youth activists in Cagayan de Oro slam series of surveillance, BULATLAT, November 11, 2025.
◆2025年11月12日(水)
11月15日、イサベラ州サン・マテオで、農民オーガナイザーで環境保護活動家のスターリン・ヴァレンシアが4台の車両で現れた私服の国家機関職員によって拉致され、サン・マテオ警察署へ連行された。
彼は、殺人及び殺人未遂を含む複数の捏造された容疑に直面している。
Rights group scores violent, unjust reprisals vs Negros detainees, KARAPATAN, November 12, 2025.
◆2025年11月12日(水)
10月24日、コカ・コーラ・ロジスティクス中央・東ビサヤ組合(FCCU)の組合長を務めるビシェル・ミノサが、会社の配達業務中に銃撃され死亡した。
Cebu union leader shot dead while on duty, BULATLAT, November 12, 2025.
◆2025年11月14日(金)
11月7日、作家、詩人、研究者として知られるデ・ベラ(69歳)の自宅が、保険の話をしに来たという人物によって押し入られた。
SELDA: Hands off Adora Faye de Vera! , KARAPATAN, November 14, 2025.
◆2025年11月17日(月)
11月7日に、川崎統一労働組合(KULU)の労働者らは170日間に及ぶストライキを終了したが、組合役員4人を含む7人の労働者は依然として職場復帰を禁じられている。
Kawasaki union officials prevented from returning to work as strike ends, BULATLAT, November 17, 2025.
◆2025年11月18日(火)
11月14日、先住民族マノボのジュリエタ・ゴメスと先住民族権利擁護活動家ニエゼル・ヴェラスコは、約4年間にわたり両者を逮捕・拘禁した警察当局者に対する意見書を監察院事務所へ提出した。
Detained for nearly 4 years over false charges, rights defenders file countercharges vs police, BULATLAT, November 18, 2025.



