2026年の年頭にあたって

【図】(左)Facebook page of National Network of Agrarian Reform Advocates Youth(posted on November 9, 2020.),(右)Facebook page of Anakbayan (posted on August 3, 2018.)

勅使川原香世子(SAC)

正月も半ばにさしかかり、もうずいぶん前のことのように感じますが、2025年にはとても印象に残る出来事が3つありました。

一つめは、3月12日のドゥテルテ前大統領の国際刑事裁判所(ICC)への収監です。なんと、逮捕したのはフィリピン国家警察でした。ICCの逮捕状によれば、同法廷は、少なくとも19人が、ドゥテルテ被告が創設したとされるダバオ暗殺団によって、少なくとも24人が同国法執行機関構成員によって、あるいは、その監督下で殺害されたと判断しました。そして、ドゥテルテ被告が、ダバオ市長、フィリピン大統領という公的な地位にありながらダバオ暗殺団のような組織を統制していた点を指摘し、彼の責任を追及しました。

これまで、SACにおいても幾度となくお伝えしてきましたように、ドゥテルテ被告によるドラッグ戦争の中で超法規的に2万人とも3万人とも言われる人びとが殺害され、人権擁護団体カラパタンによれば、422人の活動家やジャーナリスト、弁護士らが殺害されました。

ドゥテルテ被告の弁護団は、同被告が裁判を受けるに足る健康および認知機能の状態にないと釈放を要請しましたが、検察側は審査の結果、その要請を却下しました。ICCによれば、起訴内容確認聴聞会の期日は、今後、決定されます。

二つめは、7月に結審したカリーナ・デラ・セルナとご両親への無罪判決です。カリーナ一家は、2023年7月に保釈されましたが、2年を経てようやく無罪を勝ち取ったのでした。カリーナは2019年10月31日に、西ネグロス州バコロド市で、農民団体などの事務所が国軍や国家警察の合同部隊に一斉襲撃された際、父親とともに逮捕・収監されました。

この時、57人が一斉逮捕され、46人は釈放されましたが、カリーナ親子を含む11人に対してでっち上げの刑事告訴がなされました。のちに、カリーナの母親もでっちあげの人身取引容疑で収監されることとなりました。カリーナと父親には、重火器不法所持で逮捕・収監されたあと、母親と同様の人身取引容疑が3件かけられ、拘束は長期化しました。

三つめは、10月に結審したマイルス・アルバシン他5人の若者らへの無罪判決です。マイルスらは、2018年3月に、東ネグロス州マビナイ町の農村地域で逮捕されました。彼女たちはその時、サトウキビ大農場の労働者らへの支援活動のために同地域に滞在していました。午前2時頃、「我々はフィリピン国軍だ。お前たちを取り囲んだ。ただちに投降せよ。10秒以内に外に出ないと、手りゅう弾を投げ込むぞ」という声で彼女たちが目を覚ますと、そのまま逮捕され、国軍の駐屯地へ連行され尋問を受けました。そして翌日には、銃火器と爆発物不法所持の容疑で起訴されたのです。

パラフィンテストが陰性だったことも無視され収監が続く中で、マイルスらの支援者ベン・ラモス弁護士が銃殺されるという悲劇にも見舞われました。さらに、マイルスらは、「高度危険拘禁者のため管轄裁判所を移す」とされ、その手続きのために2年も審理開始を待たされることとなりました。裁判所を移すまでにすでに3年が経過。その後、検察が裁判所に証拠を提示するまでにさらに2年、加えてマイルスらの弁護にもう2年が費やされました。彼女たちが法廷で発言する機会は、拘束されてから7年経ってようやくやってきたのでした。

2025年12月に、SACは、国際環境NGO FoE Japanや一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター、立教大学異文化コミュニケーション学部などと共に、カリーナとマイルスをメインスピーカーとするオンラオイン講演会を開催しました。

カリーナとマイルスは、無罪判決は彼らの身の安全を保障するものではないと述べました。またマイルスは、共産主義者である、テロリストであるというレッテル貼りが続いていることやその問題点を指摘されました。それは、「殺害してもよい。逮捕してもよい」といったお墨付きを与える行為であり、そのレッテルを貼られた人びとから発せられる言葉や意見の正当性がゆがめられることになると述べました。

いまだ、身の危険を感じていながら、2人はすでに、農民らの苦境や政治囚に対する不公正な扱い、刑務所における人権侵害などを訴える活動を始めています。

私たちSACは彼らを支援し、フィリピンで奪われている人びとの人権の回復に向けた活動を今年も続けていきます。

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