労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2025年1月24日(金)
報告される人権侵害のほとんどがネグロス島とビコール地方で発生していると、人権擁護団体カラパタンのクリスティーナ・パラバイ事務局長が述べた。2025年1月に、ネグロス島だけで少なくとも22件の事件が報告されているという。パラバイ事務局長は、これは間違いなく、ネグロス島、ビコール地方、サマール島での軍事作戦強化を命じたドゥテルテ前大統領による大統領令第32号の結果であり、マルコス大統領は平然とその作戦を継続していると指摘。
カラパタンに報告された、それらの地域で発生した最近の事件は以下。
ビコール地方マスバテ州では、2025年1月19日、ディマサランに住むマルシアル・デタロ(61歳)が、国軍第2歩兵大隊(IB)によって撃たれた。国軍はデタロを病院へ搬送したが、住民に対し、事件について報告しないよう告げ、デタロが住む地域に増派した。さらに国軍は、デタロはフィリピン共産党軍事部門新人民軍(NPA)との銃撃戦の中で負傷したと話をでっち上げた。
西ネグロス州ヒママイラン市では、1月14日、ダド・サンチェスが国軍第94歩兵大隊に軍事作戦の手引きをさせられ、行方不明になった。1月15日、サンチェスと同じバランガイに住む夫婦アイラ・ゴンザレスとジョセフ・ゴンザレス、アルフレッド・ヒラドとその仲間も国軍に殴られ、逮捕された。ジョセフとヒラドも行方不明のままである。国軍兵士らは、サンチェスやゴンザレスらに対し銃器や爆発物、革命文書とされるものを証拠としてでっち上げ、近隣住民の携帯電話を没収し、NPAを支持していると非難した。
同じく西ネグロス州シパライでは、1月10日、NPAメンバーのロドニー・「カ・ワニー」・ルマノグ(54歳)が国軍15歩兵大隊によって捉えられ拷問され殺害された。
東ネグロス州ギフルガン市では、2025年1月16日、国軍第62歩兵大隊が、ジュモン・ダヨノ(16歳)を拷問した。ダヨノが拷問されたのはこれが2度目だった。
KARAPATAN: Under Marcos Jr., virtual martial law prevails in Negros, Masbate, Karapatan, January 24, 2025.
◆2025年1月29日(水)
左派系パーティリスト政党連合(マカバヤン・ブロック)は、1月23日、サン・カルロス大学(USC)管理局によるトゥデイズ・カロリニアン(学生新聞)のキャンパス・オフィスからの退去を非難する下院決議第2193号を提出した。
Makabayan solons condemn Cebu-based publication’s displacement, Bulatlat, January 29, 2025.
◆2025年1月29日(水)
1月10日、カガヤン地方検察庁が、農民活動家や人権活動家、記者らに対し、テロ資金供与容疑に関する召喚状を発行した。
Rights group assails financing terrorism charges vs Cagayan Valley activists, community journalist, Bulatlat, January 29, 2025.
◆2025年1月29日(水)
タクロバン市の検事局は、2024年12月19日付の決議により、レイテ開発センター(LCDE)のスタッフに対する2012年テロ資金供与防止・抑制法の容疑を証拠不十分で棄却した。
No evidence | Prosecutor junks financing terrorism charges vs Tacloban NGO, Bulatlat, January 29, 2025.
KARAPATAN welcomes dismissal of terrorist financing charges vs dev’t worker, Karapatan, January 29, 2025.
◆2025年1月30日(木)
先住民族の人権擁護活動家のミルナ・クルス・アブラハム(69歳)が殺人と殺人未遂容疑で逮捕された。ミルナは15年前にも、でっち上げの容疑で逮捕された。
Family, colleagues of Myrna Cruz-Abraham denounce second arrest, Bulatlat, January 30, 2025.
KARAPATAN denounces arrest of indigenous, women’s rights advocate, Karapatan, January 30, 2025.
◆2025年1月30日(木)
サンホセ・デルモンテ市検事は、農民指導者ロニー・マナロに対する国軍による告発を棄却した。
2024年6月18日、国軍第80歩兵大隊とフィリピン国家警察特別行動部隊(PNP-SAF)の合同部隊が、サンホセ・デルモンテ市にあるマナロの家に押し入った。合同部隊は、武器と破壊物資を発見したと主張。国軍第80歩兵大隊は、同日に発生したとされる犯罪にマナロが関与したとし、爆発物不法所持、銃器・弾薬の不法所持、反テロリズム法違反の容疑でマナロを告発した。
Prosecutor junks criminal, terrorism charges vs Bulacan peasant leader, Bulatlat, January 30, 2025.
Rights group pushes for counter-charges of peasant leader vs military, NTF-ELCAC, Karapatan, February 1, 2025.
◆2025年2月3日(月)
2月2日、私学団体連絡協議会は、独立性を維持し学問の自由を強化する一方で、NTF-ELCACと共通の懸念事項についての対話を維持することを公表した。
COCOPEA withdraws NTF-ELCAC membership, upholds academic freedom, Bulatlat, February 3, 2025.
◆2025年2月5日(水)
2月4日、1月30日に逮捕された先住民族の人権擁護活動家ミルナ・クルス・アルバハム(69歳)が保釈された。
Indigenous peoples’ rights activist freed after week-long detention, Bulatlat, February 5, 2025.
◆2025年2月5日(水)
最高裁判所大法廷は、2024年アルバイ州タバコ市で拉致された環境保護活動家フェリックス・サラヴェリア・ジュニアに有利なアンパロ令状と人身保護令状を発行した。
サラヴェリア・ジュニアが2024年8月28日に拉致されてから161日が経った。
SC issues protective writs in favor of abducted environmental activist, Bulatlat, February 6, 2025.
◆2025年2月6日(木)
1月31日、パラワン州バラバック町ブグスクにあるマリア・ハンギン島で、国内最大の財閥で産業コングロマリットであるサンミゲル・コーポレーション(SMC)の職員とバラバックの先住民族代表(IPMR)が、国家先住民委員会(NCIP)の職員とともに住民宅に押し入った。
地元住民は、彼らが住んでいる島が農地改革の対象地から除外されたこと、SMCが近隣の島に土地を所有していることから、SMCがマリア・ハンギン島を含むビーチリゾートを開発しようと目論んでいるのではないかと疑っている。
マリア・ハンギン島では、2024年中旬から、島民が銃撃されるなどのハラスメントが続いている。
Palawan residents condemn government’s claims of ‘no harassment’, Bulatlat, February 6, 2025.
SMC dragged into brewing land controversy over southern Palawan islet, Palawan News, July 2, 2024.
Editorial: The Maria Hangin project in shambles, Palawan News, July 10, 2024.