【人権侵害タイムライン】2024年12月30日~2025年1月12日

【写真出典】(左から)Three development workers of PDG Inc arrested on terrorism financing charges, Paghimutad - Negros Island People's Alternative Media, January 3, 2025., Manila police wields Martial Law-era law against 10 Makabayan senatorial bets, Bulatlat, January 9, 2025., Negros-based NGO helping farmers exposes lies, inaccuracies in terror financing complaint, Bulatlat, January 9, 2025.

労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。
事件の詳細については、出典をご覧ください。

 2025年1月2日、農地改革推進や小規模農・漁民を支援するネグロス島南部拠点のPaghidaet sa Kauswagan Development Group Inc.(PDG)の社会開発ワーカー3人がテロ資金供与防止・抑制法(テロ資金供与防止法)違反の容疑で逮捕された。拘束されたのは、ダリル・アルバニェス、フェデリコ・サルビリヤ、ペルラ・パビリア。 アルバニェスとサルビリヤは同法違反で2件の訴追を受け、パビリアは3件の訴追を受けている。
 逮捕は、2024年12月3日にイロイロ市で司法省(DOJ)が提出した告発状に基づいており、そこにはPDGのスタッフ5人が列挙されている。
 3人の弁護人であるレイ・ゴルゴニオ弁護士は、同告発状の主要な証人であるロイ・モレーニョの宣誓供述書について、信用に値しないと述べた。なぜなら、宣誓供述書において、モレーニョは自首した元フィリピン共産党軍事部門新人民軍(NPA)兵士とされるが、彼がNPAであったという記録がないからだ。「ある証言者は、彼がNPAの一員であったことはないと断言している」とゴルゴニオ弁護士は言った。
 ゴルゴニオ弁護士はまた、「モレーニョは『フィリピン合同キリスト教会の牧師とともにNPAメンバーとして第62歩兵大隊を待ち伏せして攻撃した(2018年5月、ネグロス島カバンカラン市において、国軍兵士が殺害された件で7人が逮捕された事件。逮捕された7人はヒママイラン7と呼ばれる)』と主張したが、2024年11月に、ヒママイラン7に対し無罪判決が下されている」と述べた。
 PDGは、赤タグ付けや監視などのハラスメントに晒されてきた。2018年には、事務局長のベンジャミン・ラモス・ジュニア弁護士が暗殺されている。

Three development workers of PDG Inc arrested on terrorism financing charges, Paghimutad – Negros Island People’s Alternative Media, January 3, 2025.
Negros-based NGO helping farmers exposes lies, inaccuracies in terror financing complaint, Bulatlat, January 9, 2025.

 12月27日、マスバテ州ウソンで国軍(AFP)関係者とされる人物によってジェイピー・オサベル(14歳)とレッドジャン・モンテアレグレ(18歳)が殺害された。
 人権団体によると、レイ・ベラン(17歳)も昨年、国軍によって殺害された。レイと4人の仲間は、マスバテ州の丘陵地帯で狩猟を終えて帰宅する途中だった。

Investigate killing of HS students in Masbate – CRC, Bulatlat, January 4.

人権団体カラパタンは、2024年12月12日にケソン州サン・ナルシソでココナッツ畑の農民2人が逮捕されたあと(【人権侵害タイムライン】2024年12月15日~12月29日https://sac-japan.org/human-rights-violation-timeline-073/)、地方自治体などが人権団体メンバーの人権も蹂躙していると発表した。
 2人の逮捕後、人道支援チームは現地における調査を計画していたが、チーム到着の数日前に、国軍は検問所を設置したり、サン・ナルシソ自治体はカラパタンやパーティリスト政党のメンバーらが現地に入ることを禁止する覚書を発行したりした。

Rights group calls for greater vigilance in 2025, as IHL violations mark end of past year, Karapatan, January 4.

 マニラ警察管区は、1月9日、マカバヤン・ブロック(左派系パーティリスト政党のグループ)の上院議員候補者10人を含む13人の活動家を、マルコス・シニア独裁政権の遺物である集会法(Batas Pambansa 880)違反の疑いでマニラ検察庁に告発した。
 告発されたのは、パーティリスト政党ACTのフランス・カストロ下院議員、ガブリエラ代表のアーレン・ブロサス、マカバヤン議長でパーティリスト政党バヤン・ムナ元代表リサ・マザ、バヤン・ムナ第3候補のフェルディ・ガイテ元代表、教員や農民、漁民、都市貧困層の団体代表など。

Manila police wields Martial Law-era law against 10 Makabayan senatorial bets, Bulatlat, January 9, 2025.

 政治囚の娘が、タギッグ市のバゴン・ディワ収容所にあるマニラ首都圏第4管区拘置所(MMDJ-4)で看守から下着を含む衣類を脱いだ身体検査(ストリップ検査)を受けたとして、国家人権委員会に正式な苦情を申し立てた。
 ストリップ検査は1月5日の面会時に発生した。看守は彼女と彼女の叔母に、これまでの面会時には一度も求められたことのなかった権利放棄書に署名するよう求め、ストリップ検査を実施した。看守は、女性は男性に比較し持ち込みが禁止された違法薬物などを隠しやすいと主張し、下着を脱がせ陰部などを検査した。
 同拘置所において、2023年にも、政治囚の面会人に対して同様の事件が発生している。

Daughter of political prisoner subjected to ‘inhumane’ strip search at Metro Manila Jail, Bulatlat, January 12.

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