労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2024年10月20日(日)
10月18日、西ミンドロ州アブラ・デ・イログのサトウキビ大農場アルメダで、少なくとも31人(16人の高齢者と15人の未成年者)が、7人の私兵と4人の警察地域機動隊員によって不法に逮捕・拘束された。31人は、不法侵入と悪質ないたずらの罪に問われている。
フィリピン農民運動によれば、1546ヘクタールに及ぶサトウキビ大農場アルメダは包括的農地改革プログラムの対象地で、1992年に、農民と先住民族58人に土地所有裁定証書(CLOA)が発行された。少なくとも31ヘクタールは先住民族イラヤ・マングヤンの先祖伝来の土地と考えられている。しかし、その土地の所有者であるイラヤ・マングヤンは、何度も嫌がらせを受けてきた。たとえば、2017年、彼らの家は国家警察や私兵100人によって破壊された。
また、10月19日、タルラックのサトウキビ大農場ルイシータで、国軍兵士と想定される武装した私服の男4人が農民団体議長フランシスコ・ディソン宅に押し入った。4人の武装集団は、ディソンを連行しようとしたが、農民団体メンバーらが阻止したために不当逮捕を免れた。
サトウキビ大農場ルイシータは、タルラックの三つの町にある11バランガイ(最小自治単位)にまたがる6453ヘクタールの農場で、コファンコ家によって所有される。コファンコ家は、様々な法的手段を用いて、農場労働者や小作人らへの農地分配を逃れてきた。2004年11月16日には、ストライキに参加した約1000人の労働者を国軍兵士らが暴力的に鎮圧し、7人が死亡、子どもを含む121人が負傷、133人が逮捕・拘束された。
In Mindoro, farmers are harassed, arrested amid agrarian dispute, Bulatlat, October 20, 2024.
Rights group decries arrests, harassment of peasants asserting rights, Karapatan, October 21, 2024.
◆2024年10月23日(水)
2か月の間行方不明だった環境擁護活動家のロウェナ・「オーウェン」・ダシグが、無事発見された。
ダシグと同じく環境擁護活動家のミゲラ・ペニエロは、2024年8月にケソン州グマカの裁判所で無罪判決を受けた。ところが、ダシグは予定された日に釈放されず、2か月の間行方が分からなくなっていたのである。
ダシグとペニエロは、2023年7月、同州アティモナンで液化天然ガス工場の調査中に逮捕された。
Missing environmental activist Rowena Dasig found safe, Rappler, October 23, 2024.
◆2024年10月24日(木)
2024年10月21日、北イロコス州バカラに滞在中の民族民主戦線(NDFP)顧問シメオン・「カ・フィリウ」・ナオグサンが国軍と国家警察による家宅捜査の際に逮捕された。
また、長年の開発ワーカーであるレンビリア・サルバドールが2024年10月17日、でっちあげのテロ資金供与法違反で、司法省から召喚状を受け取った。サルバドールの同僚のペトロニラ・グズマンも、彼と共に告発されている。
KARAPATAN scores weaponization of terror laws vs NDFP consultant, Ilocano dev’t workers, Karapatan, October 24, 2024.
◆2024年10月24日(木)
10月22日20時45分頃、放送作家のマリア・ヴィルマ・ロドリゲスが、サンボアンガ市で、親族とともに店内に座っていたところを銃撃され死亡した。腹部を3回撃たれた。
ロドリゲスのラジオ・プログラムでは、バランガイ(最小自治単位)の問題や課題について取り上げていた。
KARAPATAN condemns killing of Zambo female broadcaster, calls for stop to journo killings, Karapatan, October 24, 2024.