労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2023年5月25日(木)
2023年5月25日午前2時45分頃、フィリピン国家警察の犯罪捜査・探知グループと国軍、フィリピン国家警察海上グループなどの共同作戦において、元農民運動指導者のアドルフォ・「タタイ・オポン」・サラス・シニア(75歳)が逮捕された。
フィリピン国家警察などは、捜索中にピストルなどを押収したと発表したが、家族は、押収された武器は警察が仕込んだものであると主張している。
Elderly peasant leader arrested in Bohol; family, union groups cry foul, Rappler, May 25, 2023.
◆2023年5月26日(金)
キリスト教の青年グループが、2023年5月18日新たに発生したセドリック・カサーニョとパトリシア・シエルバの拉致事件を受け、マルコス政権下で明らかになった一連の人権活動家らの強制失踪について警鐘を鳴らした。
カサーニョとシエルバは、カガヤン州のゴンザガで、国軍第501歩兵大隊によって生きたまま捕らえられた。
青年グループは、マルコス政権下で発生した国軍によると想定される人権活動家ら21件の強制失踪について監視しているが、その多くはいまだ行方不明のままである。
たとえば、約ひと月前の4月24日には、先住民族の人権活動家マリー・ジョイス・リサダとアルヌルフォ・アウメンタドが、マニラから7時間離れた東ミンドロ州で、国軍による一連の砲撃に関連する現地調査をしている際に行方不明になった。数日後、国軍は二人を共産党軍事部門新人民軍(NPA)の兵士として拘束したと発表。
4月28日には、先住民族の人権擁護者であるジーン・ロズ ・「バズー」・デ・ジーザスとデクスター・カプヤンが、リサール州のタイタイで目撃されたのを最後に行方不明になっている。
URGENT ALERT | Philippines: 2 IP Rights Defenders Illegally Detained, 2 Others Missing, SOOP World, May 13, 2023.
Group sounds alarm on disappearance of activists since start of Marcos-Duterte admin, Philstar.com, May 6, 2023.
◆2023年5月26日(金)
午前11時30分頃、コタバト州ピキット町の国軍第90歩兵大隊の検問所から約800メートル離れた小学校の前で、小学校教頭のジョエル・レフォルマド(36歳)が射殺された。
レフォルマドは同僚のエルトン・ジョン・ラピニド(37歳)が運転するバイクの後部座席に乗っていた。ラピニドは手術を受け、一命をとりとめた。
この事件は、ピキット町において今年2月に起きた一連の銃乱射事件に続くものである。
Teacher killed, another hurt as gun violence erupts again in Pikit, Cotabato, Rappler, May 26, 2023.