労働団体や人権活動家、ジャーナリストらを標的とした殺害、拉致、逮捕・勾留などの事件を、7日から10日ごとにまとめて時系列でお知らせします。事件の詳細については、出典をご覧ください。
◆2023年5月10日(水)
国軍と国家警察の捜査チームは、午前2時半頃、共産党軍事部門新人民軍(NPA)のビコール地方党委員会地域作戦司令部ディンド・モンサント作戦主任を逮捕した。
陸軍スポークスパーソン ゼルクス・トリニダッド大佐によると、モンサントに対してさまざまな裁判所から、殺人や殺人未遂、殺人を伴う強盗、反テロ法違反などの逮捕状が出されている。
Top NPA official falls in Malabon, The Philippine Star, May 10, 2023.
◆2023年5月10日(水)
フィリピン全国ジャーナリスト組合(NUJP)は、同組合議長と指導部全員が全国放送において赤タグ付けされたことを受け注意喚起した。
2023年5月5日、アポロ・キボロイ牧師が所有するテレビ局SMNIの番組で、赤タグ付け屋で知られるロレイン・バドイと地方共産党の武装闘争を終わらせるための国家タスクフォース(NTF-ELCAC)のスポークスパーソン ジェフリー・セリスが、NUJPのジョナサン・デ・サントス議長と幹部らを赤タグ付けした。バドイらは、デ・サントス議長が、若い頃に共産主義の「地下活動」をしていたと主張した。
人権団体は、この行為は無実の個人を脅迫や暴力、不必要な国家監視にさらすと繰り返し述べている。
国家人権委員会は、この赤タグ付けの乱発は人権を損ない、不平等を強化し、フィリピン社会に敵対的な分裂をもたらすと警告した。
[Alert] Pampanga-based journalist surveilled during Labor Day protest, Facebook page of National Union of Journalists of the Philippines, May 10, 2023.
CHR calls out SMNI for red-tagging journalists, Philstar.com, May 12, 2023.
◆2023年5月11日(木)
2023年4月28日から行方不明の活動家ジーン・ロズ ・「バズー」・デ・ジーザスとデクスター・カプヤンの家族が、捜索に協力して欲しいと5月1日に国民に訴えたと、本日、BULATLATが報道した。
カプヤンとデ・ジーザスは、マルコス・ジュニア政権下で強制失踪した7人目と8人目の被害者である。
カプヤンは、国家警察第5地域事務所が掲示した指名手配者ポスターに載っている。ポスターには「共産主義テログループの人物」とされる81人の名前と顔、写真が掲載され、生死を問わず捕らえた場合の懸賞金が記されている。 懸賞金は15万ペソ(36万4000円、2023年5月14日の為替レート)から1000万ペソ(2429万円)である。
人権擁護団体カラパタンのクリスティーナ・パラバイ事務局長は、強制失踪防止法(2012年)の実行において、国軍と国家警察が非協力的であると不満を表明した。
Kin appeal to the public to help find 2 missing activists, BULATLAT, May 11, 2023.
◆2023年5月13日(土)
アブラ州の裁判所は、国軍によって共産主義の反逆者とされた7人の活動家に対する反逆罪の訴追を正当な理由がないとして棄却した。
7人は、コルディリエラ人民連合(CPA)のウィンデル・ボリンゲット議長やCPAのリーダー ジェニファー・アウィンガンら。アウィンガンは2023年1月20日バギオ市の自宅で逮捕され、9万ペソの保釈金を支払い保釈されていた。
Rebellion raps vs 7 activists dismissed, The Philippine Star, May 13, 2023.